↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/28

風習

「御仁。その姿はやはり、個人スキルによるものなのだな?」


「えぇ、その通りです。カイル(あの子)をちゃんと育てるのに、以前の弱々しい身体ではどうしようもならなくて……神に願っておりましたら、この身体を賜りました。いやはや、なんでも試してみるものですな」


 はっはっは! とダンガルドは豪快に笑う。


「あ、あの、ダンガルドさん。カイルさんの両親って……?」


「あぁ、居るんだけどね。カイルの奴、黒髪だろう? それに黒眼だ」


「あ、え、そうです、けど……それが、何かあるんですか?」


「……時代だね。薄れていくのは嬉しい所だけど、この村ではまだまだ風習が根強いんだ。『黒は凶兆の証。魔族の生まれ変わりである』というのがね」


「なっ!?」


「そういえば……居たね。闇を扱うものにとって、適正がある黒色が身体に現れる。それがどれ程大きいことか知りもせず、そうやって嫌悪し吹聴する馬鹿者達が」


「アニエスさん……あんた、いくつだい……?」


 ダンガルドはアニエスの返答に驚いていたが、咳払いをし話を進めていく。


「カイルの両親も、元々この村に居たんだが……あいつが産まれてから逃げるようにここを去った。魔族の生まれ変わりを産んだ者もまた……そう、言われないようにって所だろう。今はどこにいるかすら分からん。全く、子どもを捨てる親なんぞけしからんわ!」


「そんな……そんなことって……」


 アメルが俯く中、ダンガルドは優しい声色で話を続ける。


「この村に居る時は、あいつも塞ぎ込む事が多かったがね。冒険者になるって言った時のカイルは、嬉しそうだったなぁ。今も、こんなに沢山の別嬪さんに囲まれて……」


 うらやま、いや、嬉しいことだとダンガルドは語った。


「パーティーの皆さん。これからも、カイルと仲良くしておくれ。年寄りの唯一の願いだ」


「も、勿論です!」


「御仁、私達も主様が居なければ、今ここにはいない者達ばかりだ。貴方が見限らず育てて下さったおかげだ。感謝している」


「いやいや。当たり前の事をしたまで。あいつも今では立派になった、感無量ですわい」


 再び豪快に笑うダンガルド。が、その笑いは途中で止められ、ダンガルドは挙動不審な動きを見せる。


「しかし……そうは言ったがカイルの奴、一人で大丈夫なんだろうか? 職業は確か……【従魔士】だったか。肩にスライムがいたのは知っているが、アルミラージの方が強いはずだ。し、心配になってきたぞ……」


 やっぱり儂も出るか、と農具に手を掛けたダンガルドを手で制止するアニエス。


「御仁、主様は油断こそすれどアルミラージに遅れを取ることはない。面白いものが見れるかも知れないし、朗報を待とう」


 もしもの時は、私が出る。その一言に納得したのか、ダンガルドは腰をおろした。


 布団では、ささやかな寝息から、豪快ないびきをかき始めたリリの姿があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。