↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/28

黒いアルミラージ討伐

 食べ終わった頃に、イッカクが村へ。皆と合流し、アルミラージが現れるといわれた夜まで、のんびりと過ごした。


「アメルさんといったね。その歳で料理が出来るなんて大したものだ」


「そ、そうですか? ……えへへ」


 夕食も終わり片付けをしている中、じいちゃんとアメルはかなり打ち解けていた。アメルも嬉しそうだ。


「私も料理くらい出来るわよ?」


 リリが、そんな仲良さそうな二人へ割って入った。


「そうなんだね。じゃあ、得意な料理を聞いちゃおうかな?」


「あれよ、お湯かけると出来るやつ」


「……なるほど、美味しいもんね」


 じいちゃんは優しい。リリが言うことに頷くだけで、それ以上何も言わなかった。言ってもいいんだよ? じいちゃん。


「そういえば主様、黒いアルミラージを討伐すると聞いたが」


「うん、村の作物をやられてるらしいんだ。聞く限りだと変異種みたいでさ」


「うむ。東から、それに一月前からというのが引っ掛かってね。主様、もしかすると……これが原因かもしれない」


「っ! それは……!」


 アニエスが、懐から一瞬取り出して見せたそれは、フォレイトスに流れる川を、黒くさせていた原因だった。アニエスは話を続けていく。


「まだ研究中だ。詳細は掴めていない。が、これに汚染されたものは、間接的にも効力を発揮し拡散していく事が判明した」


 黒く、瘴気が立ち込めていた川。今でこそ元の清流となったが……例えばの話、黒かった際に飲水を欲した動物や魔物が口に入れたら?


「主様の推察通りだと思う。そのアルミラージは変異種、または……クロ、とでも名付けようか。その影響を受けている可能性がある。どちらも考慮した方がいい。クロだった場合、凶暴性が高まっているはずだ。討伐の際は、弱い魔物だからと油断しないようにね」


「うん、気をつける」


 気合いを入れ直した俺。片付けを終えた二人も合流してくれた。話は討伐の作戦会議に移る。


「大人数で行くとすぐ逃げる。どうやら通常の奴より耳が良いらしい。アイツを見つけたら村人全員で、が最近の追い払う方法だ」


「なら、討伐となると少人数がいいね。主様とライム……だけで問題は無いだろう」


「アニエス!?」


 問題あるよ!? 気をつけろと言った矢先、一人でと告げるアニエス。確かに、ライムも一緒だけど……まぁ、大人数だと逃げるらしいから、しょうがない事なのか。


「カイル、討伐は頼んだが怪我して欲しい訳じゃないからな。無理だけはするんじゃないぞ?」


「分かってる、ありがとうじいちゃん」


 アイツが現れるのは、時間的にもうちょっとしてからだ。じいちゃんがそう言って、俺達はそれまで他愛ない話をした。内容は主に俺についてだった、なにこの羞恥プレイ。



「──主、来タゾ」


 それからもう少し時間が経ち、周りの家も段々と灯りが消え始めていた。ここの灯りはつけたままだが、アルミラージは消えている所の作物を狙うらしい。人間の行動を把握している、知恵があるな。


 見張りは、イッカクが買って出てくれたのでお願いしていた。そのイッカクからの報告で、再び気合いを入れ直す。


 立ち上がって装備の確認、ライムが肩に居るかも確認だ。


「カイル、無理はするな?」


「主様、油断しないようにね」


「私もご一緒したいですけど……カイルさん達なら大丈夫ですし、気をつけて下さいね」


「すぴー、すぴー……」


 皆が声援をくれる中、一人だけじいちゃんの布団で呑気に寝てるリリ。大したもんだよ、ホント。いい意味で気の抜けた俺は、皆に返事をする。


「じゃ、行ってきます」


 ライムと従魔融合した俺は外へ。眼を凝らすと、畑で動く影が見えた。あれだな。イッカクに視線を送ると頷いてくれた。影だけ見ると、とてもアルミラージには見えないほど大きい。大の大人が、そこへ丸まっているようだった。


 村の人には悪いが、作物を食べている今が一番油断してるだろう。アニエスが告げたクロ、変異種に加えその可能性も考慮し、一撃で仕留めるのがベストだ。


 俺は愛剣、鬼斬を抜き、魔力を刀身へ流し込む。刀身に光の筋が入り、輝きを見せ始めた。


「……よし、一撃で決めるぞ。ライム」


(おー!)


 俺は個人スキル、ブーストを強化した状態を保ち、その場から一瞬でアルミラージの背後へ辿り着く。アルミラージには作物を食べたまま動いていない、いける!!


 剣を振り下ろそうとした時────横から不意に、何かが振り下ろされる影が現れた。慌ててそちらに照準を合わせ、剣を置く。


「なっ!?」


 俺が合わせた所には、鎌があった。鎌はそのまま持ち手の部分から真っ二つになる。アルミラージが一瞬こちらを向いたと思った瞬間に、その場から駆けていた。


 驚いた声を出し、鎌を持ってまま固まっている青年へ、俺は怒鳴りつけた。


「ジャイお前! 俺が嫌いなのは知ってるけどよ、今じゃねぇだろうに!! あぁ、畜生! 覚えとけよお前!!」


「ち、ちがっ……!」


 ジャイが何か言おうとしていたが、そんなの知ったこっちゃない。見失わないように、逃げていったアルミラージを慌てて追いかけていく。


 アルミラージが逃げた先は、広大な森がある領域、フォレイトスだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。