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花道闊歩 -異世界ガイドとして死ぬ運命の少女たちを幸せな老衰エンドへ導きます-  作者: ガリガリワン
第二部 第九章 思春期編

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第七十一話 魔痕

今回最初だけ三人称です!


 戦士。それは時代の流れと共に戦法や技術を変え、

 各々の多種多様なスタイルを確立してきた。


 その中でも非常に強力でいずれ強者がたどり着くような結論は、多くの者に知れ渡ることとなる。


 終焉手法や結界魔法による結界の構築。

 魔剣化に加えて単音詠唱など、数は多い。


 しかし、戦闘とは時に戦法や技術だけでは語りきれぬ、超常的な現象によって勝敗を分けることがある。


 遺伝ではなく突発的に発現する魔眼、

 眼球に魔力が集中することで独自の力を得た特殊な眼球へと進化する現象によって生まれるもの。


 しかし、魔眼が最後の現れたのは数千年も前の話、

 現在フリィア・サタニルドは身体中に傷を負っており、致命傷とも言える傷も存在している。


 時が経つにつれて死に至るだろう。


「……」


 だが、フリィアは戦士が持ち得ない狂気とも言える生への執着を抱えている。戦士になった時点で死ぬ覚悟は皆するものだ。それをしていないフリィアの生への執着力は圧倒的である。


 今際の際で発現する生きるための力。


 世界でも数少ない猛者にのみ発現するとされている特殊な模様。フリィアは首の側面に発現してみせた。


 ″魔痕(まこん)

 裂け目のような青い傷跡のようなものが、

 フリィアの首へと刻まれる。


 魔痕が刻まれた生物は身体能力が向上し、

 特に動体視力と反射神経を極限まで強化する。


 今のフリィアを止められる者は存在しない。



 走り出すフリィア、竜は水の光線に加えて水の針、

 砂の球体たちからの触手によって接近を拒むが、

 この状態となったフリィアに攻撃は当たらない。


 まるで未来が見えているかのように避け続け、

 着実に竜との距離を縮めていく。


 常に竜を見続けるフリィアに対し、

 竜は本能的な恐怖を覚え、フリィアはぼーっとしたような感覚で、ただひたすらに戦闘に夢中だった。


 そして、フリィアは竜を自身の間合いに入れると大剣を振り上げ、青い炎纏う斬撃を勢いよく放つ。


 威力自体はそう変わらないが、その斬撃は竜に対して大きな傷を与えるに至る。


 触手がこんなにもいるというのに、

 なぜフリィアには当たらないのかと困惑する竜。


 そして、青を宿す十二歳ほどの女の子は、

 不可能であったことをこの場で成してみせた。


「……逃げた?」


 竜は翼を広げて逃げた。

 本能が判断したのだ。フリィアと戦えば敗北して死を迎えるのは自分だと。だから逃げたのだ。


 竜が飛び去る姿を見てフリィアの首から魔痕が消え、

 自然に魔剣化も解かれると、大剣を引きずりながらもリルメスの下に行き、あと少しのところで倒れた。


 強い日差しがほんのり汗を流すフリィアの身体を照らし、次第に意識を奪っていく。


 出血多量に加えて脱水症状、魔力枯渇。

 フリィアはいつ死んでもおかしくない状態で、

 激闘の末に砂漠にて意識を失ってしまった。


 フリィアの意識が途絶える前にあった思いは、

 リルメスが無事かどうかという心配のみだった。



 * *【リルメス視点】* *



「ん……」


 ……? どこここ?

 天井……部屋? いや……この天井は宿?


「あ、起きました?」

「ケルエタ……フリィは?」

「……なんとか生きてます」


 大体理解した。

 あの時、あたし毒を喰らって倒れたんだ。

 ……フリィはなんとか生きてるってどういうこと。


「フリィはどうなったの」

「身体の欠損はないですし五体満足ですけど、

 太ももと左腕にぽっかり穴が空いていて、

 出血も多かったですしギリギリ治癒魔法が間に合ったんです。それでも完治はしてないんですが……」


 ……なんで、なんでフリィだけそんな。


「あたしは毒だけ?」

「そうですね。無事で良かったです」

「……フリィはなんでそんな怪我したの」

「わかりません……まだ本人が一度も目を覚ましてませんし、俺たちが来た頃には敵はいませんでした」


 フリィは一人で戦ったの?

 そんな怪我をするほどの強敵……


 なんで、なんであたしはいっつも……

 フリィに追いつきたくても追いつけない。


 いっつも守られてばっかり、

 フリィと一緒に戦ってもフリィが大半を占めてる。


「リルメスお嬢様も絶対安静ですし、

 なにかあったら俺とかグラバさんに言ってください」


「ねぇケルエタ」

「はい……?」


 約束したのに、二人で戦うって。

 なのにいつもあたしは肝心な時戦えなくて、

 フリィにはどんどん置いてかれてる。


「あたしって強いの?」

「……多くの魔法使いの上には立っていますよ」

「じゃあ……あたしはフリィと肩を並べて、

 足手纏いになることなく戦える強さ?」

「……それは」


 もうわかってる。みんなそう。

 基本剣士の方が強いからわかってる。


 フリィはあたしよりずっと強い。


「……へ、変なこと聞いちゃったわね。

 もう聞きたいこともないから大丈夫よ」


 ……なんだか、頭がモヤモヤする。

 フリィを思うとそのモヤモヤが強くなって、

 なんであたしは追いつけないのかって感じる。


「そうですか……リルメスお嬢様、

 俺が言うのもあれですけど……フリィアちゃんは、

 リルメスお嬢様がいるから強いんだと思いますよ」


 ケルエタのその言葉に返事はできなかった。

 言葉が詰まったような感じで……声が出ない。


 あたしが返事をする前にケルエタは、

 寝室から離れていった。


「フリィ……」


 あたしは魔法使い、でもそれだけじゃダメなの。

 フリィに追いつけるような強さを手に入れなきゃ、

 絶対に追いつかなきゃ……追いつかなきゃ……!



 フリィにあたしは置いていかれたくない!

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