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花道闊歩 -異世界ガイドとして死ぬ運命の少女たちを幸せな老衰エンドへ導きます-  作者: ガリガリワン
第二部 第七章 ギルド編

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第五十四話 ルサナン大陸


 星断暦(せいだんれき)844年2月25日。


 俺たちはついにルサナン大陸へ上陸した。


 現在地はハルグーラ港という、

 ハンドラ王国の最北端にある港。


 方角にして北側にガシリア大陸がある。

 対岸を目視できる時点でだいぶ近い。


「ケルエタ様、やはり港に直接船を泊めるのは……」

「……乗り捨てましょう。荷物を持って港から出ます。

 ハンドラ王国にもいられないですし、

 素早くソラニテの方へ向かいましょう」


 ハンドラ王国はメテオール配下の国で、

 ダグンドからすでに情報は得てるはずだ。


 最後の難関であってここを乗り越えれば、

 ソラニテ王国に入って一息できる。


 船ももう使うことは少しの間ない、

 それに、ハンドラ王国とソラニテ王国は仲が悪い。


 船を捨てて後々捜索が始まったとしても、

 俺たちはその頃には港から離れてるし、

 ソラニテ王国の中に入れば詮索は不可能だ。



 というわけで俺たちは船を放置した状態で、

 ハルグーラ港をそそくさと抜け出し、

 平原の一本道へと出た。


「……これからは野宿がまた増えそうですね」


 野宿自体皆慣れている。

 ただ、最初の頃はリルメスやルダクルが慣れず、

 結構苦労……というか俺は頭を抱えてた。


 だが、それも昔の話であって今は慣れてる。


「えー……村の宿とかはダメなの?」


 しかし、なにも野宿が好きなわけではない。

 リルメスからは当然のように愚痴が溢れた。


「すみませんリルメスお嬢様……

 今はとにかくこの国での露出を避けたいのです」

「仕方ないことなのはわかってるけど……

 ほんと、あたしたち嫌な扱いよね」


 ごもっともだ。

 まあそういうの込みで戦争、

 リルメスは負けた国側の重要人物。


 俺たちはそんなリルメスを囲う存在、

 こうなっちゃうのはしゃーない。


「ルサナン大陸って草の色が緑じゃないですね」


 フリィアちゃんが話題を変えるべく、

 この大陸についての話を持ってきてくれた。


 グッドタイミングフリィアちゃん。


「ルサナン大陸は現在私(わたくし)たちが歩く、

【ナララ平原】と南部のダウラ砂漠で分かれる大陸、

 草の色がそうなっているのも砂漠の影響ですよ」


 そう、グラバさんが言う通り、

 この大陸も北部と南部で区切られている。


 北部は緑地、ナララ平原が大部分を占めていて、

 東の海沿いには森林が生えてる。

 気候はダグンドと似たようなもので、

 今の季節は秋。秋夏夏秋が北部の一年だ。


「ねぇフリィ、その大剣ってこの大陸にいる、

 星殲竜(シーランドリュ)の素材でできてるんでしょ?」

「うん。まだピカピカだよ、わたしの大剣」


 大剣を買ったのも懐かしいな……


星殲竜(シーランドリュ)はフォルステッド山にいるんだろ?

 俊級(しゅんきゅう)暴野(ぼうや)の大剣だとかよく買えたなぁ」


「とても気の良い店主がいましてね。

 その人の善意で託してくれたのです」

「わたしの宝物です……」


 シルフさんが大剣を凝視してそう言ったので、

 俺はあのおじじのことを思い出しながら経緯を伝え、

 フリィアちゃんも思い出してるようだった。


 あのおじじには感謝してもしきれない、

 ……上から見ててほしいよ。フリィアちゃんが、

 あんたの剣を持って強くなるところをさ。


「……特別な思いがある大剣なんだな」


 シルフさんがそう言った後少し沈黙を挟み、

 次はルサナン大陸南部についての話が始まる。


「メアラ聞いたのですなの。

 南部には有名な武術家がいるって」


 有名な武術家。それは準天級(じゅんてんきゅう)の戦士だ。


「″武祭(ぶさい)のケケラ・マグラッド″のことですか?」


 グラバさんの言うケケラって奴、

 俺は少しばかりそいつが気になった。


全知脳(ぜんちのう)発動】


武祭(ぶさい)のケケラ・マグラッドについての知識】


「その人って何者なんです?」


 ルダクルがそう言うので俺は得た知識を話す。


「ケケラさんは身体能力に全振りした戦士、

 拳戦者の一人でもありますが治癒魔法の使い手です。

 簡単に言えば、再生しながら戦う近接戦士ですよ」

「めちゃくちゃ強くないですか……!?」


 そうだ。めっちゃ強いぞこの人。

 砂獣(さじゅう)族っていう種族がいるんだが、

 砂漠に縄張りを持って【サデンド()】を占領してる。


 なんでその種族が縄張りを持てるかって、

 その人がそこに居続けるからだ。


 存在が抑止力だとかになる戦士……


「でもルサナン大陸は結構バケモノ大陸だしなぁ、

 天級(てんきゅう)兇徒(きょうと)の南に当たる一角、

 壊刀(かいとう)のタルタ・ロストガルもいるぞ」


 シルフさんがさらっとそう言ったが、

 かなり重要な情報でもある。


 壊刀(かいとう)のタルタ。

 ルサナン大陸は最南部に(デダ)族の縄張りがある。

 そこは誰も近寄らない禁足地……

 その禁足地の有象無象(大量の死族)を支配する王、

 それが天級(てんきゅう)兇徒(きょうと)壊刀(かいとう)のタルタなんだ。


「なんか危険だらけですね……」

「グロワールが支配していた緑峰(りょくほう)北部は、

 世界的にも安全な地ですからね……」


 と言っても不帰(ふき)の大森林とかあったけどな……


 でもフリィアちゃんの気持ちもわかる。

 ここまでルサナン大陸は危険なイメージしかない。


 実際……ギルド活動が盛んなのがその証拠か。


 危険ごとは多いが過保護にある必要はなし、

 二人は十分戦える戦士だからな。


「それよりも、ソラニテ王国までは何日かかるのよ」

「2週間程度でしょうか……?」

「はぁ……また結構歩くのね」

「これが最後ですから〜」



 * * *



 2週間とは言ったが3週間かかった。


 なぜそうなったかを説明すると──


「気持ち悪いぃ〜……ぅ」


 リルメスが食中毒にかかった。

 全員同じ食事をしていたのにリルメスだけだ。


「……3日は安静にするべきですね」

「なんでリルメスお嬢様だけ……?」


 グラバさんは俺のその言葉にため息をついた。


「それがですね……お嬢様はお腹が弱いんです。

 魔力を多く持つ子供は多いんですよね……」


 はえ〜……そんなのあるんだ。


「うぅ……」

「リルメスちゃん大丈夫……?」

「苦しいわフリィ……死にそう」

「えぇ!! 死んじゃ嫌だよ!!」

「うっ……死なないわよ。ちょっと冗談……」


 食中毒……俺は一回もかかったことがないが、

 腹をグチャグチャにされるあの感じは、

 見てる側としてもかなり辛いな……



 ま、そんなことがあって3週間かかった。

 北部は暴野(ぼうや)も少ないから戦闘はなしで、

 とにかくコソコソと移動する日々……


 でももうそんな日々は今日でお終いだ。


「! あの看板! ソラニテ王国よ!」


 ソラニテ王国の領土内に入ったことを示す看板、

 それが見えてリルメスは飛び跳ねて指をさした。


「じゃあ……わたしたち?」


 ハンドラ王国を抜けてついに俺たちは──


「っふ〜……ソラニテ王国、来れましたね」


 ソラニテ王国に到着だ。

 長い間、不安が取り巻く日々だったが、

 ついに……ついにだ。


「お疲れ様ですケルエタ様」

「私だけじゃないですよ……みんな、頑張りました」

「ふふ、そうですね。頑張りましたもの」



 これで明日からソラニテ王国での生活が始まる。

 目標は金銭面の確保。デエス帝国目指して……

 よし……ギルドで稼ぐぞ〜!!

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― 新着の感想 ―
ようやく安全地帯まで一安心ですね〜 ギルドとかワクワク要素も出てきて今後に期待です
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