73話 俺の治癒魔法で治療します
タイトルをちょっと修正しました。
主人公像が伝われば良いなって思ってます。
これからもよろしくお願いします!
「はははは!はーっはははは!」
ジェイクは不気味なまでに高笑いを続けている。その横でヒッカはケビンに話を聞いた。
「…その、怪我をした人ってどこにいますか?俺たちで診てみます。」
「すまない。町の先生のところだ。早く来てくれるとありがたい。」
「分かりました。フィリー、来てくれるかい?ライクも来て欲しい。」
「分かりました。」
「もちろん!」
「師匠。俺は…?」
「ラッフェルはジェイクさんを連れて来てくれないか?ケビンさん。その先生の所ってどのあたりですか?」
「見えるか。あそこに大きな木があるだろ。そこが目印だ。」
なるほど、確かに大きな木があり、一際大きな建物が見える。
「分かりました。それじゃラッフェル頼んだよ!ジェイクさん、俺たちは先に行って来ますね。」
そう言ってヒッカたちは先生と呼ばれる人の元に連れ立って行った。
一方。
「やっとだ。やっと…。」
ジェイクも少し落ち着いて来ただろうか。
「ジェイクさん、大丈夫っスか?」
「ははは。はぁ。はぁ…。」
「…。」
「すまないな。取り乱した。」
「あんなに取り乱したジェイクさんなんて初めてっスね。驚いたっス!」
「ヒッカたちは…?」
「師匠なら怪我人のところに行ったっス。」
「そうか。…。俺たちも行くぞ。」
「了解っス!」
ジェイクたちもヒッカたちの後を追った。
「ここなんだ。」
「ここが…。」
建物の壁に破損は見えるものの、倒壊するほどのダメージでは無さそうだ。
ケビンがドアに手をかける。だがドアは開かない。どうやら内側から鍵がかけられているようだ。
「くそ!鍵がかかってる。すまないがもう少し待ってくれないか?」
ケビンはヒッカたちに一声謝るとドアを叩き始めた。
「先生!俺だ!ケビンだ!!ドアを開けてくれないか?」
やがて脇の小窓が開いた。
「すみませんが少し静かにしてもらえませんか?」
「聞いてくれ!回復魔法を使える人を連れて来た。これでアリーシャやみんなが助かる!」
「回復魔法?」
「ああ!俺を見てくれ!ほら、俺も怪我を治してもらったんだよ!ピンピンしてるだろ?」
ケビンは自分の体でヒッカの力量を証明しようとした。そこへ…。
「ヒッカ!」
「ジェイクさん。」
「アンタ…。」
「さっきはすまなかった。もう大丈夫だ。それで、怪我人と言うのは…?」
「…この中さ。」
ケビンはドアを指して言った。それを聞いたジェイクは自分の袋からポーションを取り出した。
「良かったらこれを使ってくれないか?」
「それはポーションかい?そいつはありがたいが…。」
「どうかしたのか?」
「いや、それが…。」
ケビンが何か言おうとしたところ、ドアが開いた。助手と思われる女性が開けてくれたのだ。
「それで?誰が診てくれるんだい?」
「この人さ。」
ケビンがヒッカの背中を押す。
「そうかい。ならこっちに来てくれないかしら。寝てる人もいるから静かにね。」
「はい。」
そう言ってゾロゾロと中に入ろうとするヒッカたち。
「すまないけど関係ない者は外で待っててくれるかい?」
「ごめんなさい。でもみんな一緒でいいですか?この二人も回復魔法が使えます。こっちの二人は冒険者なので何かの役に立つかもしれません。」
「…。」
そう言われた助手はヒッカたち一行をジロジロと見つめた。ヒッカは助手が軽くため息をつくのが聞こえた。それでも…。
「入るのはいいけど、くれぐれも静かにね。」
助手は中に案内してくれた。
「さっき話した町長の孫娘がアリーシャなんだ。ひどい怪我をしているから何とか診てやって欲しい。」
「…分かりました。俺たちでできることがあれば頑張ります。」
中には町人が座って集まるスペースがあった。大人も子どももいる。子どもは泣いていたのであろう。目を真っ赤に腫らしている。皆それぞれ怪我をしているようだ。包帯をぐるぐる巻きにしている者もいる。が、ケビンが急ぎ足であることから、アリーシャの怪我はそれよりひどいであろうことが伺える。
ヒッカは嫌な予感がした。
やがて、一つのドアの前に着いた。
「ここなんだ。」
ケビンはそう言って静かにノックした。
「ケビンだ。入るよ。」
その部屋のベッドに横たわるアリーシャは、何とも惨たらしい様子だった。
「ひゃっ!」
フィリーは驚きの声を上げた。それはラッフェルやライクも同様だった。
無理もない。アリーシャは体の至るところに包帯が巻かれている。さらにその包帯は血が滲み、黒ずんでいる…。左手が添木で固定されているのは骨折しているのだろうか。
「なん…。」
「ジェイクさん?」
「はっ、はっ。はーっ。」
ラッフェルはジェイクの違和感に気づいた。ジェイクは肩で呼吸をしている。脂汗も浮かんでおり、パーティーの中で一番動揺している様子が見て取れる。
「ぐっ。」
ジェイクは咄嗟に窓を開け、そのまま嘔吐した。
「おい何だよ…!」
それは、ケビンがジェイクに掴み掛かろうとした時だ。
「…どうして。」
ヒッカは心の奥底から深い悲しみを感じた。今、生命の危機に晒されているその命を、諦めることはできなかった。気付けば目に涙すら浮かべている。
「アリーシャは町の子どもを守ろうとしたんだ。子どもを庇って『奴ら』の炎を受けて、こうなった…。」
ケビンが説明する傍ら、ヒッカの頬を涙が伝う。
「だから何とかしてやってくれ!さっきみたいに!!」
ケビンは必死だった。
「俺たちの力じゃダメだったんだ!この子には何の罪もないのに…このまま死なせたくない…。」
ケビンは嗚咽混じりに言葉を搾り出した。
「…このままじゃ助からない。」
「そんな…。」
「だが手がない訳じゃない!ラッフェル!」
「はひ!」
突然のことにラッフェルは思わず声が裏返った。
「ここに来るまでに通った泉があるだろ?あそこの水をたくさん汲んできてほしい。必要なんだ。急いで!」
「了解っス!」
ラッフェルは外に向かって走り出した。
「ケビンさん。綺麗なシーツを持って来てくれませんか?できれば沢山。」
「お、おお。先生。シーツはどこですか?」
「それならこっちだよ。ほら。」
シーツがある場所には、助手が案内してくれるようだ。
「フィリー。君は【ヒーリングミスト】を使いながら包帯を剥がしてあげてくれるかい?」
「え?はい。やってみます。」
「うん。ライクはフィリーのサポートを頼むよ。【ヒーリングミスト】が霧散しないように抑えてあげて。」
「う、うん。やったことないけど…、頑張ってみるわ!」
そのテキパキとしたヒッカの指示に驚いた人物がいた。
「君たちは一体何をしようと言うのかね?」
先生と呼ばれた人物は首を傾げている。
「決まっています。」
ヒッカはアリーシャを見ながら答えた。
「俺の治癒魔法で治療します。」
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