72話 一体どうしたんですか!?ジェイクさん
タイトルをちょっと修正しました。
主人公像が伝われば良いなって思ってます。
これからもよろしくお願いします!
ヒッカがいる物見やぐらの上にジェイクたちも集合したところで、ケビンが口を開いた。
「さっきはすまなかった。また『奴ら』が戻ってきたのかと思って攻撃してしまったんだ。このとおりだ。」
そう言ってケビンは深々と頭を下げた。
「それで?『奴ら』とはどんな奴らだったんだ?」
ジェイクはケビンを責めることなく、問いただした。
「『奴ら』は『奴ら』だ。俺にも正直分からない。」
「お前はふざけてるのか!?答えになってないだろ!!」
ジェイクはケビンにくってかかった。
「どうしたんですか?ジェイクさん。」
「…。」
ヒッカの問いかけにも答えず、ジェイクはケビンの胸ぐらを掴み上げた。
「お、落ち着いてくださいっス!そんなのジェイクさんらしくないっスよ!」
ラッフェルも割って入った。
「お前には関係ない。俺は今この男に聞いている。」
「そんなぁ。」
「ジェイクさん、一旦手を離してください。お願いします。」
「…。」
「ジェイクさん!」
ヒッカは大声で訴えた。
「…。早く話すんだ。」
ジェイクはケビンを解放した。ケビンは咳き込んで苦しそうにしている。
「大丈夫ですか?」
ライクがケビンの背中をさすりながら声をかけた。ジェイクはそれを押し黙って見ていた。
ラッフェルとヒッカは小声で会話した。
「(師匠。何だか今日のジェイクさん、おかしくないっスかね?)」
「(まあ、ね。確かに気になるけど、今はケビンさんの話を聞こう。)」
確かに、パーティーメンバー内で一番冷静なジェイクが感情を露わにするのは珍しい。ヒッカたちは明らかに歓迎されていない来訪ではあったが、攻撃されるいわれはない。それに対して怒ることは極々自然ではある。それに、ケビンの投石でパーティーメンバーが怪我をする可能性は十分にあった。ヒッカのお陰で結果として無事ではあったものの、危険なことには間違いない。
「『奴ら』ってのは、本当に分からないんだ。いきなりあんな目にあわされて…俺たちも混乱してるんだ。」
「『あんな目』?一体何があったんですか?」
「あれはほんの数日前なんだ。いきなり白い馬に乗った騎士みたいな『奴』が現れてさ。聞けばこの辺で魔物や魔獣の調査をしていると言う話だった。ちょうどアンタみたいな真っ赤な鎧を着込んでさ。」
ケビンはジェイクを指した。
「…それで?」
「それで、『奴』に話したんだ。実はその前から魔獣が現れるようになって困ってたところなんだって。俺たちでもどうにか対処できるから今すぐって訳ではないが、やはり安心はしたいからな。」
「…。」
「それが、昨日『奴』は戻ってきたんだ。俺たちは『奴』の身なりからてっきり騎士か何かだと思ってたんだ。だが、『奴』は『悪魔』だった。まさか人間が魔獣や魔物を従えて戻ってくるなんて思わないだろ?」
「!!」
「そんな…。」
「え?え?魔獣を連れてきたってこと?」
「魔物もですか?」
「そんなのありえなくないっスか?」
皆が口々に話す。
「そんなにいっぺんに言うなよ。俺たちが分かってなきのにそれを説明できないだろ?」
「…それでどうなったんだ?」
「ああ。『奴』はその引き連れた魔獣や魔物で遊んでいた。それがさ、ソイツら全部炎を纏っていやがったんだ。」
「…!」
「ジェイクさん、それって!?」
「何だ?もしかして何か知ってるのか?」
「俺たち、炎を扱う魔獣を倒して来てたんです。それって、どんな魔獣だったんですか?」
「どう、って。俺たちは無我夢中だったから…。『奴ら』は結構な数いたな。俺が見たのは確か…ゴブリンが狼に乗っていたな。五、六体はいたと思う。町のあちこちで声が聞こえていたから、他にもいたはずだ。」
「その割には被害が少ないっスね。皆さん強いっスね!」
「そんなんじゃない。『奴ら』はただ遊んでたんだ。本気で襲われてたらこの町は全滅しただろう。その中でも『奴』はニヤニヤしながら俺たちが逃げ惑う姿を見て楽しんでやがったんだ。」
「酷いですね…。」
「酷いだなんてもんじゃない。町の被害もあるが、怪我している者もいる。そうだヒッカ。なあ、頼めないか?俺を治してくれたみたいにもう一度。」
「…話が終わってからだ。」
「そんな!話しただろ?俺だって分からないんだ!それに、町長の孫娘はひどい怪我をしてる。頼むよ!」
「…。」
「ジェイクさん。先に怪我した人を助けましょう。俺には見捨てることなんてできないです。」
「…そいつの特徴は?」
「ジェイクさん!」
「うるさい!答えればすぐ終わる問題だ!」
ジェイクの声は怒りに満ちていた。
「特徴は…もう言っただろ?白い馬に乗って、赤い鎧を着てて、魔獣や魔物を操ってて。」
「そいつの名前は?」
「名前?何だっけな。最初に会った時に名乗ってたと思うんだが…。」
「…。」
ジェイクは眼光鋭く、ケビンの口元を睨みつけている。
「確か…。」
「確か?」
「ギ…何とかだ。ギ、ギ、ギブソン?ギスターブ?違うな。ギ、ギ…。」
ケビンは『奴』の会話の内容を必死に記憶から読み解こうとした。
ーー
「…へえ。それはご苦労なことだ。でも何で一人なんだ?」
その日、ケビンは『奴』に問うた。
「秘密だ。任務だから答えられない。」
そう言って『奴』は答えた。
「そんなもんかい。」
ケビンは、きっと騎士の極秘任務なのだろうと考えた。それならば、上品な馬に乗り重厚な鎧を着込んでいることも、一人で行動していることにも納得がいく。
「もし、お若いの。」
「町長。」
「わしはこの町の町長をしておりますブランドと言う者じゃ。騎士殿の任務のお役目にこれを。」
町長は『奴』にポーションを差し出した。
「ポーションか。もらっておく。」
『奴』はポーションを受け取った。
「して、騎士殿のお名前は何と申されるのか?」
「俺の名前?」
「はい。ぜひお聞かせ願えればと。」
「俺は…。」
ーー
「思い出した!『奴』はギースって名乗ってた!」
「それは本当か?」
「ああ!間違いねぇ!何なら町長にも聞いてみるといい!」
「『奴』のフルネームは分かるか?」
「フルネーム?」
「そうだ。ギース=ギブソンと名乗っていなかったか?」
「そうだ!確かそんな名前だった!」
「そうかそうか…。」
普段と違う様子のジェイクにヒッカは恐る恐る声をかけた。
「ジェイクさん?」
「ははははっ!やっとここまで来たぞ!」
高笑いするジェイク。
「一体どうしたんですか!?ジェイクさん。」
「『奴』は俺にとっての仇だ。」
「仇?」
「ああ。待っていろギース!」
ジェイクは不敵に笑い続けた。
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