67話 これで…俺はっ!
ジェイクはギルドに向かっていた。
「ジェイクさん、おはようございます。」
ちょうどギルドの入り口でヒッカとラッフェルに出会った。二人の装備を見て、何らかの依頼を受けているであろうことは分かった。
今日は休みと言っている以上、どう過ごすのかは自由だ。それにラッフェルの怪我は殆ど回復しているうえ、ヒッカもついているので無茶はしないだろう。そう思ったジェイクは特に深追いはせず、二人に任せることにした。
「ああ、おはよう。もう行くのか?気をつけてな。」
そう言って二人を後にした。
ギルドに入ったジェイクは追加されたライノス種の討伐依頼の他に、炎を操る魔獣の依頼がないかを確認した。
(他に依頼は…無いのか…。)
他の冒険者たちに話を聞いて回るも、有益な情報は得られなかった。
「近付いてきているはずなんだ…。奴はどこに…。」
ジェイクは思わず独り言を呟いていた。
(絶対に見つけ出してやる…!)
ジェイクがギルドに来た理由はもう一つあった。それはヒッカから受け取った剣の試し切りだ。昨日のハントで威力は確認できたものの、実際に他の魔獣をハントする際の感触を試したかった。
(まずは手近なもので試すか…。)
そうやって手に取ったのはBランクの依頼書だった。冒険者ランクAのジェイクにとっては、やや簡単な部類に入る。
とは言え、怪我も治りきっていない状況かつ、新武器なので慣れるまで余計な怪我をしたくないと言う本音もある。
(アーマーバイソンの群れ程度ならどうとでもなるだろう。)
ジェイクは手早く受付を済まし、目撃地点に向かった。
(…あれか?)
馬車に揺られるジェイクは、遠目にバイソン種の群れを発見した。巨大な体躯に一際目を引く角、全身を覆う頑丈そうな外皮。依頼書に書かれている特徴とも一致する。目標に相違ないようだ。
(思ったより早く見つけることができた。運がいいな。)
ジェイクは一人で旅をしていた時の記憶を思い出していた。一人旅の当初は中々目標を見つけられずに苦労したこともある。二、三日成果無しだったこともザラだ。
各地を転々とし、その地で一時的なパーティーを組んで実績や経験を積んで行った。その成果が重なり、いつしか冒険者ランクはAランクにまで到達していた。
旅の途中、組んだパーティーから抜けることを引き留められたこともある。それでも、旅を続ける確固たる理由がジェイクにはあった。
(何を感情に浸っているんだ…。俺は…。)
ジェイクはかぶりを振った。
(そうだ。俺はもう手段は選ばないと決めたんだ。)
馬車を止めてもらい、ジェイクはアーマーバイソンの群れに向かっていく。アーマーバイソンがジェイクの接近に気づいた。その瞬間、猛然と突撃してくる。
(少し…、数が多いか。)
ジェイクは構えを取り、高めた魔力を打ち出した。
「【ファイアバースト】」
辺りを薙ぎ払うように放つも、アーマーバイソンの致命傷にはならなかった。
(…思ったよりは手強いな。二、三体程度に残したかったのだが。)
ジェイクは【ファイアバースト】を最も接近してきたアーマーバイソンに向けて照射し続けた。
「…!!」
ドサっと倒れるアーマーバイソン。
(まずは一体。もう一体持つか…。)
そのまま射線軸を二体目のアーマーバイソンにずらす。
「っ!」
ジェイクの【ファイアバースト】が打ち止めとなると同時に、二体目のアーマーバイソンが倒れた。
(さて…次はコイツの出番だな。)
ジェイクは抜剣し両手で構えた。アーマーバイソンは構わず突撃してくる。
「ふー。」
静かに呼吸を整え、魔力を高める。アーマーバイソンがジェイクの眼前に迫る!
「はっ!」
アーマーバイソンは一太刀の元に両断された。手応えは十分だ。
(よし、次は…。)
ジェイクは迫り来るアーマーバイソンの群れを次々と切り破っていった。全て一太刀で沈黙させたその剣の威力に、ジェイクは確かな希望を感じた。
(まずはこんなものだろう。)
再び剣を構える。そのまま剣を軽く振り回し、型をなぞった。
自らの攻撃が有効打にならず、焦りを感じた頃のジェイクはもういない。
「これで…俺はっ!」
ジェイクは空に吠えた。その雄叫びが何なのかは本人にしかわからない。ただ一つ言えるのは、ジェイクの闘志が再び燃え上がったと言うことだ。
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