05
夕食時にリーシャの妻・ソマリを紹介してもらい、食事を終えるとそのまま三人で雑談をした。雑談といっても、二人は芽衣のためにこの世界のことを教えてくれた。この世界の名はラスターニャといい、大きな国が何カ国かあるらしい。そして今芽衣がいる国が大きな国の一つであるユイオン王国だということも。
「そう…メイちゃんはとても遠くから来たのね。何か困ったことがあったらすぐに云ってね」
ソマリは一目で芽衣のことを気に入ったようで「可愛いわ。娘が欲しかったから、私のことは母か姉だと思っていいのよ」と嬉しそうに笑っていた。
「ありがとうございます。当分はお世話になります」
と告げると「ずっとうちに居てもいいのよ」と少し拗ねているようだった。
それから芽衣がこちらに来て疲れているだろうと考慮してくれたのか、詳しいことはまた明日という話になった。
またメイドに案内してもらい、無事に部屋に戻ってきた芽衣は椅子に座った。
「この家の人たちが皆親切で良かった」
リーシャやソマリ、メイドたちも皆親切にしてくれた。ここが異世界だと知った時は戸惑ったが、優しい人たちに会えて良かったと思った。
「さてと時間もあるし、どんな商品があるのか確認してみないと」
芽衣は異世界商店のアプリを起動させる。すると最初に起動した時のウサギが現れ、『異世界商店へようこそ。この異世界商店はあなたのレベルが上がるにつれ、色々な商品を購入できるようになります。現在のレベルは1なので、購入出来る商品はこちらになります。現在のレベルでは、全商品1日10コまで購入出来ます』と同じことを云われた。
「何を選んだらいいのかな。とりあえずボディーシートとメイク落としかな」
各商品の個数を1のままにし、他の商品を見る。
「なんかネットショッピングと同じ感覚」
画面を見ながら商品・個数を決定してカートに入れる、という一連の作業にそう思った。
次に食品の項目を見ると、またもや色々な食品の写真が掲載されている。
「お味噌汁も飲みたい。あっ、レトルトご飯があるのは嬉しい! これだったらお湯を使えば食べられるし」
個別包装されている味噌汁とレトルトご飯、そしてご飯のお供として海苔の佃煮と梅干もカートに入れる。お菓子も見つけたので、小腹が空いた時用にと煎餅とのど飴もカートに入れた。
この世界に何があって、自分には何が物足りないのかが分からなかったので、とりあえず気になったこの8コを購入してみる。
『購入画面に切り替わります…現在カートに入っている商品は8コです。本当によろしいですか?』
とウサギが確認してくる。そこで『はい』を選び、支払い画面に切り替わった。
『支払い方法は魔力または硬貨になりますが、どちらにしますか?』
「えっ? お金なんて持ってないよ」
焦る芽衣は試しに『魔力』と選んでみた。すると『魔力400を消費します。よろしいですか?』と表示される。
確かステータスを見た時に魔力は600あったはず。だから400払っても大丈夫だと思うが、魔力を消費することはリーシャにも聞いていないので、この後どうなるか分からない。
「でも折角1日1回だけの買い物だし…」
そう思って芽衣は『はい』と押した。その直後、身体から力が抜けていくのを感じた。
「魔力で支払うと力が抜けてくの?」
身体がダルくなったが、まだなんとか動ける。芽衣がステータスを表示させると、
小日向芽衣
異世界人
年齢:19歳
職業:商人
レベル:1
魔力:200
スキル:異世界商品取寄せ、鑑定
持ち物:マジックバッグ、スマホ、異世界商品
となっていた。確かに魔力は減っている。
「買った物はどうなってるんだろう」
通販のように目の前に箱が届けられたりはしなかったので、買った物がどこにいってしまったのか心配になる。
するとウサギがタイミングを見計らったかのように、
『ご注文ありがとうございました。ご注文いただいた品はマジックバッグに転送しておりますのでご確認下さい。またのご利用、お待ちしております』
とお辞儀をしていた。
「マジックバッグは…確か思い浮かべて取る!」
今買った物…と思い浮かべてバッグに手を突っ込むと、ガサッと音と共に何かを引き上げた。取り出したのはビニール袋に入った商品だった。
「お味噌汁、ご飯、梅干、佃煮、お煎餅、のど飴、ボディーシート、メイク落とし…うん、頼んだ商品がちゃんと入ってる」
それらを手にしてなんだか嬉しくなった。
異世界でも日本の品は手に入るし、同じ世界から来た人たちもいるようなので、なんとかこの世界でも生きていけるかもしれない、と芽衣は思った。
「明日会う人たちがいい人たちだといいな」
そう云いながら寝る準備をする。今日は風呂に入れなかったので、ボディーシートで簡単に身体を拭き、メイク落としを使った後に元々買っていた化粧水を使う。本当はバイト先のロッカーに入れて置くように買った物なのだが、今はこれが手元にあって良かった、と思う。
使った商品をバッグにしまい、枕元にバッグとスマホを置いておく。
ようやく寝る準備を終え、いざベッドに入るが、何か忘れているような…何か足りない物はなかったか?などと考えてしまい、中々寝付けない。
「そうだ! 歯ブラシを買うの忘れてた」
思いついた芽衣はガバッと起き上がり、慌てて異世界商店を開き、歯ブラシと歯磨き粉を魔力で購入する。先ほどよりも更に力が抜け、そのままそのまま倒れこんだ。




