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 新商品についてはどういう物か説明書きしたメモを設置していたのにも関わらず、何故か暫らくはチューチューとパウチドリンクの質問や説明を延々と伝える日々が続いた。


「ちゃんとメモが貼ってあるのに…手にする前に読んでくれてないのかな?」


 商品説明のメモを設置しているにも関わらず、どうしてこんなに質問ばかりされるのだろう?

 もしかして上手く説明出来ていないかもしれない?と首を傾げていると、丁度常連客が来店したので説明書きについてこそっと聞いてみた。すると「初めて見る物だから、本当に説明書きと同じ方法で口に出来る物なのか皆心配しているんだよ」と苦笑された。

 今後も…特に食品販売に関しては、色々と質問をされそうだと思った。それならもう少し詳しく書くか、思い切って店員を雇うか、もしくは試食をさせてその場で味を確認させるか…。今後の課題としてどうするか考えておこうと思った。

 それでも打開策が決まらないまま日々は過ぎ、次第に芽衣が説明続きで疲れ始めると、それまでの対応を見ていた常連客たちが初めてチューチューやパウチドリンクを手にする客に対して芽衣が伝えていたような説明をしてくれた。しかも本人たちの感想付きで。

 現在店員は芽衣しかいないので、説明を求められてしまうとどうしてもその人に付きっきりになり、それを理解してもらうのに時間がかかってしまう場合もある。その結果会計の対応が遅くなる。そうして会計待ちの人が多くなっていくので、来店してくる人に対して申し訳なく思っていた。

 そんな中常連客たちが自主的に手伝ってくれたので、芽衣は出来る限りお礼を云う。


「ありがとうございます!」


 芽衣の代わりに説明してくれた常連客には会計時に感謝を伝え、更にはお礼として小さいブラックなチョコを渡してしまった。これなら甘いのが苦手な人でも、このザクザク食感は気に入って貰えるはず…。

 しかし予想以上にブラックなチョコを気に入った常連客たちは、チョコのため――芽衣のために自主的に時々手伝いをしてくれるようになった。




 そうしてある程度落ち着いて来た頃の定休日に芽衣はふと店内を見回した。


「ずっと商品を販売することばかりに気を取られてたけど、少し店内を改装したいな…」


 今の店内は開店当初のシンプルな状態――ただ白い壁と壁掛けランプ、商品棚たちとカウンターだけが設置されており、壁や棚には何の飾りもない。

 商品棚も全て埋まっている訳ではないので、所々空いている場所もある。改めて室内全体で見てみると、なんだか淋しく感じてしまった。


「壁がシンプルなままだから、何か飾りつけしようかな?」


 けれど商品棚に飾り付けをしてしまうと、それが売り物だと勘違いされるかもしれない。そうならないためにも飾り付る場所は今のところ壁しか無い。


「う~ん…簡単に出来るのは、ポストカードとかウォールステッカーを貼ったりすることだけど…どうせなら少し凝っているように見せたいよね」


 思いついたポストカードやウォールステッカーは最後の手段として残しておき、まずは小物が置けるような棚を設置しようと考える。


「えっと…確か100円ショップの素材でDIYが出来るって…」


 以前ネットで見たDIY作品を思い出しながら、異世界商店を起動してそれらしい物を探す。

 すのこやワイヤーラックなど、色々と使えそうな物が売られている。その中で目についたのが木の板のようなウォールラックだった。


「あっ、これがいいかも」


 これなら小物も置けるし、ちょっとおしゃれにも見える。それに簡単に設置出来るし、真似する方も簡単だと思った。

 まずは失敗してもいいように1つだけ購入してみる。ウォールラックを取り出すと、この商品はどうやら画鋲やネジで固定できるようだ。


「うん、これなら簡単」


 あまり重い物を乗せなければ画鋲でも大丈夫だろう。アンティーク風な画鋲を買い、早速どの位置に付けるか実際に棚をあてながら考えてみる。


「う~ん…1つだけだとちょっと淋しいね。もう1つ購入して、段にしてみようかな」


 もう1つウォールラックを購入し、真下に置いて2段にしてみる。


「…これじゃちょっとかっちりし過ぎる。少し横にずらしてみよう」


 上の棚はそのままで、下の棚を右に動かしてみる。


「ん? もう少し移動させて…」


 試行錯誤を繰り返しながら、ようやく納得のいく配置が出来たので、早速画鋲で留める。


「これなら両方とも高さのある物も飾れる」


 どちらにも高さのある花瓶やフォトフレームなんかも飾れそうだ。

 そうと決まれば早速商品を見てみようと思い、インテリアになりそうな雑貨を探してみる。


「雑貨は…フォトフレームや小瓶、花瓶、造花…と」


 工夫すれば色々な物がインテリアとして飾れそうだ。

 そんな沢山の商品の中から蓋のついた丸い小瓶とフォトフレーム、フラワーペタル、小さいレトロなバケツ、多肉的植物を数種購入した。

 まず丸い小瓶にフラワーペタル…造花の花びらを数枚入れてみる。


「あんまり入れすぎるとギュウギュウになっちゃうから、半分ぐらい入れてみようかな」


 フラワーペタルを押し込めずに半分ぐらいまで入れたところで、改めて小瓶を見る。中に入れた花びらがふんわりとしているため、窮屈に見えないのがいい。


「うん、これぐらいの方が落ち着いてるから見た目もいいかも」


 これで1つ目の置物は準備出来た。

 次はバケツに多肉的植物を種寄せ植えしていく。こちらもあまりギュウギュウにならない程度…2種を植えてみる。小さめのバケツを購入したのにも関わらず、若干余裕があるため、2種だと少し淋しく感じた。


「…もう1つ入れてみようかな」


 植えた植物を一度取り出し、再度配置を考えながら植えていく。


「よし、いい感じ!」


 寄せ植えを終えたので、それらを実際に棚に並べてみる。


「えっと…フォトフレームと丸い小瓶? それとも寄せ植えかな?」


 試行錯誤を繰り返しながら、配置を決めていく。最終的にはフォトフレームと丸い小瓶で1段、寄せ植えを2つ並べて2段目という風にした。

 飾り付けを終え、確認のため遠くから壁を眺める。


「…まぁ最初はこんな感じでいいかな」


 初めての飾り付けにしてはシンプルで良い出来だと思う。それに今後この棚に並べる物は季節ごとに変えてもいいし、芽衣の気分で変えてもいいかもしれない。


「でもどうせならネット検索が出来るようになってくれればな…。ネット検索が無理でもせめて本が買えるようになれば、今後の生活も色々役立つかもしれないのに…」


 そうすればインテリアの参考ついでに、新たに販売出来る商品が見つかるかもしれないし、料理や調味料のレシピとか、知りたいことも分かるのに…と芽衣は思った。

 もう少し知識やセンスがあれば…と悔やんでいる芽衣とは反対に、新しく設置された棚を見た人たちは、これなら自分たちでも出来そうだと判断し、壁に板を取り付ける家が増えたとか…。




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