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開幕
夜が明けると、劉備の陣営に黄巾軍の使者がやってきた。複数人が、中央にある何かを守るように歩いている。
「蒼天已死」の旗こそ掲げているが、その頭にはいつもの黄巾は巻かれておらず、さながら葬列のようであった。
使者は劉徳然の遺体を、張梁の指示で運んできたと言う。
劉備は刹那、憎悪にかられてその使者を切り捨ててやろうかと考えたが、策の前に敵を刺激するべきではないと判断し、己を必死で押さえるのであった。
その後、劉徳然を荼毘に伏し、近衛兵数人に、彼の実家に送り届けるよう命を下した。
簡雍はその様子を隣で見ていた。
劉徳然の父上はどれほど悲しむだろうか、と考える度に胸が傷んだ。
と同時に、これから己も死を覚悟した戦いに臨むという事実を、改めて認識せずにはいられなかった。
(徳然・・・一緒に夢見た国を玄さんが創るのを見るまで、俺は絶対に死ぬわけにいかん。だが、正直この作戦で、俺はどうなるかわからん。あんたの分まで、あの手のかかる男を支え切るから、力貸してくれや。)
簡雍は、祈るように、己心の友に話しかけた。
その後、数日にわたって小競り合いの後、いよいよ決行の日がやってきた。
殿として残る簡雍の軍は約1000。その多くは、洛陽から苦楽を共にしてきた兵達であった。




