暴れん坊
曹操が去ってから5年が過ぎた。
その間、三人は大きく成長した。後は、実戦でどこまで通用するか、というところである。
簡雍は、熱心に修行を続けた結果、一通りの武器は人並み以上に使えるようになった。
劉徳然は、武の方はあまり伸びを見せなかったが、成績は盧植門下の中でもトップクラスであった。
途中、公孫瓚は盧植の推挙を受け、遼東の長史になった。
ある時、わずか数十騎で数百騎の鮮卑族の一団を撃退し、さらに出世したとの話が入ってきた。聞けば、「とりあえず突撃!俺たちの筋肉にできないことは無い!」と叫んで突っ込んだと言うことだ。
劉備は、いつの間にか商人・張正平などの援助を得て自分を慕う若者たちで徒党を組み、自警団のような活動を行っていた。腕っ節が強い男たちが多かったが、劉備はその中でも一番強かった。それでいて成績は劉徳然に次ぐのである。才覚が花開き始めていた。
曹操がいなくなってから、洛陽の警察組織は緩み、治安は悪くなっていた。
それを受けて、劉備達は、街を見回り、時には郊外に出て盗賊や山賊を討伐していた。
簡雍と劉徳然も徒党に加わっていた。徳然と劉備が作戦を立案し、主に簡雍がその作戦を実行し、敵の大将を劉備が一騎打ちで討ち取る、という戦い方がほとんどだった。
ある時、いつもの様に街を回っていると、「おやめください!どうか代金を!」と懇願する声が聞こえ、その場に駆けつけてみれば、大男がまさに豚肉を一頭丸ごと店から持っていこうとしている所だった。その足元で、店主らしき男性が、なにか叫びながら抵抗している。
「うるせえ!逆らうってえならぶん殴るぞ!」
「今日こそは、そういう訳には行きません!これ以上豚肉をタダで持っていかれては、私は破産してしまいます!」
ギョロ目のその男は、店主を見下ろしながら言葉を続けた。
「どうしてもか?」
「は、はい!」
「それじゃあ、返してやろう・・・俺を倒せたらな!」
「そ、そんな・・・」
「店主が無理なら、ここにいる奴らの誰でもいい!俺を倒してみやがれ!」
大男は、そう大声で呼ばわり、周囲を見回した。豚を一頭片手で軽々と持てる男に立ち向かおうとするものはいなかった。
「その役目、俺じゃ駄目かい?」
ただ一人、劉備玄徳を除いては。
「お、ようやく俺に挑むやつが現れたか。」
大男は、豚肉を置いて劉備に向かい合った。
「兄貴の前に、俺達が相手だ!」
劉備の後ろにいた若者たちが、大男に殴り掛かる。
「これからいいとこだってのに・・・邪魔すんじゃねえ!」
若者たちは、大男に片手で吹き飛ばされてしまった。
「さあ、邪魔者はいなくなった。勝負だ!」
「・・・強いな。」
劉備が構えた、その時だった。
「待たれよ!」
力強い声が、彼らの一騎打ちを止めた。
「今度は誰だあ?」
大男が振り向くと、そこには彼よりもさらに大きい、髭の長い男が立っていた。




