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面倒くさがりの飲食店店員(女)の日常  作者: 美月


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未熟だから、成長すると割り切るしかない

 日曜日。今日は中抜けシフトだったが、いつもよりも時間が短めで、最初の出勤時間が短い。

 と、いうことで出勤すると。

 私の感情が爆発する出来事に遭遇した。

(なんで、開店十分前にも関わらず、扉開けちゃってるの!?)

 シャッターはまだ良い。だが、扉はダメだ。ざっと中を見渡すと、ホールの準備が整っていない。さらに、ユニフォームまで置かれている。

 慌てて、シャッターを降ろした。間違えてお客さんが入ってきてしまう。

 で、扉を開けっぱなしにした人から話を聞くと。

「お客さんが来ても、まだ開店してないんですと説明したら良い」とのこと。

 問題が起きてからの対処法だ。だが、間違っているとは言い難い。

 ただ、私としてはお客さんが間違えて入ってきてしまう環境を店側がつくってしまうことに、問題があると思う。扉の鍵を閉めておけば良いだけであるし、きちんと時間通りに開ければ良いだけの話である。準備中の店内をお客さんに見せるのは、恥ずかしい気持ちもある。

 あと、それは、せっかく来てくれたお客さんを店から追い出すということだ。開店前で。

 お客さんが逃げそう、と思う気持ちもあった。

 動揺しすぎて、かなり感情が乱れた。私もまだまだ未熟である。次から、このような事態の場合、一言言って、前の扉だけを閉めておくようにしよう。

 朝から、なんでこんなことになっているんだろう。きつめに言ってしまったので、謝罪をした。だが、感情の乱れはなかなか戻らない。

 時間は短めだったが、やけに大変だった。店の従業員の空気が変だ。まるで、やる気がない。

 まぁ、私の言動のせいでもあるのだろうが。

 私は、注意とかの場合、動揺がひどいと、言い方がとてもキツくなることがある。要反省である。

(コミュニケーション不全起こしてるわ、このメンバー)

 段取りが悪い。誰が、どんな役割を担うのかはっきりしていない。

 誰かやるだろうが透けてみえる動き方である。

 これぐらい、わかっているだろうという報告・連絡の怠り。上手く回らない。返事が返ってこない。それを良しとしているメンバーたち。

(自分たちの実力が見えていない・・・)

 ベテランと組むと、ベテランが必要最低限の報告・連絡を行い、やるべきこと・やっておいた方が良いことのフォローが手厚いため、会話でのコミュニケーションがなくても上手に回る。

 だが、そのベテランがいない。フォローできる人材がいなくなれば、その分の負荷は自分たちが補わなければならない。それが、おそらくみえていないし、わかっていない。

(なぜ、調理が三人もいる中で、オーダーが入った時に誰も調理場に残っていない?)

 こういった点で、粗が目立つのだ。意識の変化ができていない。これまでベテランがしてきてくれた負荷を自分たちが担わなければならない、その意識が低い。

(これは、最早何も言わずに、いくところまでいってしまえ、が正解かも)

 私自身の言動でやる気を削いでいる可能性も大だ。ただ、このやり方しか今はできなかった。

 未熟だから、成長すると割り切っていくしかないのだろう。

(一回、何も言わずに様子見するかな。自主性を重んじた結果、どうなるのか見てみたい気もするし)

 彼らにとって、やる気を削いでくる異物は私の方かもしれない。ならば、何も言わずに様子見をしよう。舵を取るなと態度で示すなら、そうしよう。私は心に決めた。

 中抜けして、一度家に帰り、ハムスターに癒してもらった。うちのこ可愛い。宇宙一可愛い。

 ふわもこ万歳。


 再び出勤。夕方のシフトに入った。

(いやー、朝と違いすぎる)

 なんだ、この楽な感じは。役割分担がはっきりしている。やってほしいことを口にして、それを了承して、仕事が進む進む。相手からの要望も聞いたり、唐揚げの先揚げの数を決めたり。

 唐揚げが足りなくなったら、また先揚げを黙ってやってくれたり。

 常に仕事についての返事が返ってくる。こちらにあれしてほしいの要望もくる。お互い様だ。

 チームで動いている感じがすごい。

 私が単品を電子レンジで温めて、次のお客さんのオーダーを受けに行く。

 その間、他の二人は注文を受けた料理を作っていく、と。余裕があればオーダーを受けたり、バッシングをしたりしてくれる。

 足りないものの補充もやってくれる。

(朝のメンバーが思い描いてるのは、この姿なんだろうなぁ)

 チームとして動く。そのまとまりと一体感。これは、確かに心地良い。

 自分や相手の間に爽快な風が吹くようだ。

 閉店後。

(かなりの数のお客さんが来たはずなのに、なんか疲労感少ないな・・・)

 コミュニケーションについて、一緒に働いた同僚と話をしていた。いろんな人がいて、いろんな意見がある。夕方メンバーを「真面目すぎる三人」と称されたことに笑ってしまった。

 熱量の差。性格の違い。それらはあって当然のものだ。誇りや自尊心、実力もそれぞれ違うのだから。ただ、まとまりがなくなってきている点には、やはり注意を払う必要がある。

「あと、二ヶ月半かぁ」

 同僚の呟きが聞こえる。上司が戻ってくるまで、あとそれぐらいの期間がある。夏休みをなんとか乗り切らなければならない。

 体調管理をいっそう強化しながら、がんばろうと思う。

 今日はここまで。つづきはまた明日。

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