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面倒くさがりの飲食店店員(女)の日常  作者: 美月


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人生にはいろいろとある

 火曜日。朝からのシフトで、いつも通り10時に間に合うように出勤した。

 だが。

(え? なんでだろ、妙にやること多い)

 トイレ掃除、ホール掃除、テーブル拭き、調味料やコップの補充と、一時間でやるには厳しい仕事量をこなすことになった。

 これが水曜日ならば、三十分早い出勤なのでまだ余裕があるのだが。

 休みだったこともあり、休みボケしていることも原因の一つではあったと思う。

 とりあえず、手と身体を動かし、なんとか開店時間に間に合わせた。明日は汚れたダスターをハイターでキレイにしたい。

 本日は客足が多くも少なくもなく、平日の平均的な来客数だった。

 ただ、仕込み中にもお客さんが入ってくるので意外と頭はフル稼働である。

 唐揚げの仕込みを終えて、同僚の子と話すと、精神的なストレスがあるとのこと。

 いや、気持ちはわかる。上司が抜けた穴は素直にきつい。人間関係も悩むしねぇ。

 あと、体力的にしんどいようだ。

 何故か、私が人からよく言われるのが「体力がある」だ。

 休みの日は動けなくなっていたりするのだが。

 仕事には元気で出勤するので、そんな評価をもらうことが多い。

(倒れていられないって事情もあるんだけど)

 現在、最もシフトに入っているのが同僚の子と私と社長だろう。これは、倒れられないと体調管理をがんばっているのだ。

 気を張っているから、そこそこ反動はくる。

 その反動のダメージを休み期間中に回復しているだけなのだ。

(そこまで無理はしてないけど。がんばってないとも違うかな)

 業務自体に慣れがあるから、新しく仕事を覚えるといった負担はほぼない。いつも通り、通常運転で仕事をやるだけだ。

 ただ、上司が抜けた分、仕込みができる人材に負担が掛かるようになってしまった。

 元々、同僚の子は人に大変だとか、あまり弱音を吐かない子なので、大変さが気づかれにくいし、伝わりにくい。何かできればいいのだが、あいにくうまいことは思いつかない。

 何か思いついたら、その時はそっとそれをやろうと思う。

(これについては苦手分野だからなぁ)

 同僚の子と、自分とでは感覚が違いすぎて、何をしたら良いのか情報不足なのだ。

 励ましたつもりが逆効果となる場合もある。

 しばらく、言われたことだけをやっておくのが良いだろう。

 いろいろと話していたら、すぐに上がりの時間になった。そのままCDデッキを修理してもらいに家電量販店を目指した。

 家電量販店で診てもらったが、どうやらCDデッキには問題はなく、CDの方に問題があったようだ。・・・アルバムを買い直さないといけないかもしれない。メルカリで検索をかけておこう。

 帰宅して、一息つく。・・・感情が動かない。

 生きているのに死んでいるような感覚が付き纏う。現実味が薄れて、ただ息をしているだけの何かに成り下がったかのような。

(退屈が人を殺す、か。なるほど)

 感情や感覚が動かなければ、生きている実感が薄く希薄になってしまう。

 痛みや苦しみでさえも、生きる実感をもたらしてくれるものだったとは。

 初めて体感として知った、かもしれない。

 部屋の中で、CDを掛けながら、歌を歌う。

 大きく息を吸い込み、吐くこと。歌は深呼吸でもある。徐々に感情が動き始める。

(歌ってる時、自分が生きてると思える感覚や感情になる、か)

 正直、困る。歌を歌わなければ感情が取り戻せないのは。歌を歌うことでしか生きてる実感が得られないのは。歌は、喉に負担がかかる。

 ただでさえ、声を使う仕事なのだ。

 ゴホゴホと咳き込む。喉が痛い。ただ、感情や感覚は少し戻った。

(課題、かな。今後の)

 歌うことは好きだが。仕事に支障が出ない程度に収めたい。

 今日はこの辺りで筆を置こう。続きはまた明日。

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