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面倒くさがりの飲食店店員(女)の日常  作者: 美月


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縣祭りの神事

 起床。まだ、日付は変わっていない。

 準備を始めて、私は家を出た。

 遊園地の帰り、友人が言っていた縣祭りの御神事を直接見てみたくなったのだ。

 起きられるかと思いもしたが、問題なく起きられた。ならば、行くしかない。この機会を逃せば、次は一年後になってしまう。

 私はまだ眠気を引きずりながらも、着替えをして家を出た。夜ということもあり、人通りや車も少なくなっていた。

 道に少し迷いながらも、私は京阪宇治駅近くへ到着した。

 警察が道路規制を行っている。

 惹かれるように、徒歩で神社を目指す。

 夜店が出ていた影響であちこちにごみが落ちていた。とはいえ、ある程度ゴミ袋はまとめられ、道路自体は通れるようになっていた。

 神社に到着したのが、日付が変わる二分前だった。

 神輿が右へ左へ振られて、ぐるりと方向転換で回される。

 後から気づいたのだが、神輿の上には、白い大きな紙の束を頭に被った、白装束姿の・・・人が乗っていた。

 てっきり、棒にさした大きな紙の束だと思っていた私はぎょっとした。

 そして、神輿は動き出した。近くでたくさんのシャッター音が鳴り、カメラマンと思われる人々が、手にしたカメラで一部分を映しとる。

 私も写真は撮ったのだが。消してしまった。

 何故か、撮らないでと言われた気がしたからだ。本来は、暗闇の中で行う御神事だと友人から聞いていた。

よいよいと、言いながら神輿と共に練り歩く。これで街中も進むのだろう。

 仕事があるため、最後までは付き合えない。

 私は途中でそっと列から離れた。

 帰りの道中、あの御神事は何故続けられてきたのか。そんな疑問が湧いてしまう。

 自分の感覚。知識。仮定。子ども。大人。御神事。夜。暗闇。六月六日。

 仮説ではあるが。

(・・・人々の蟲祓い)

 蟲、とは遥か以前、安倍晴明が唱えた説だそうだ。人の中には「蟲」がいる。この「蟲」とは、現代でわかりやすくいうと、潜在意識下に入っている、心理的ブロックのことである。

 この心理的ブロック、困ったことに身体にも影響を及ぼす。顕在意識では望んでいないのに、身体が潜在意識の心理的ブロックの通りになるべく、無意識で動いてしまう。

 この心理的ブロックを外す、すなわち祓うための御神事のように私には思えた。

 最初に憑代を痛めつけたり、雑な扱いをしたのは、そうして自然による旱魃や大雨の被害を受けたことのある人々の身体や潜在意識と繋げるため。

 たとえ、その世代の人が経験していなくても、脈々と受け継がれてきた血筋の中に、自然災害への不安や恐怖が根付いている。

 つまりは、自分自身ですら知らない、身体の記憶ということになる。

 その身体の記憶で、自然災害がひどくならないようにと始めたのが、この御神事ではないだろうか。


 どうか、日照りが続きませんように。

 長雨が続きませんように。


 宇治には宇治川が流れている。

 日照りが続けば川の水は少なくなり、水を奪うための争いが起きる。

 長雨が続けば、川が氾濫し、水害が起きる。

 日照りでもなく、長雨でもなく。丁度良いぐらいの天気でありますように、と。

 そんな願いや祈りも込められていたように感じる。

 身体や無意識に染み込んでしまった自然災害への不安や恐怖を炙り出し、「よいよい」と言って、言霊でその穢れを祓う。

 いわば、その地に住まう大多数の人々の潜在意識下に潜む、不安や恐怖を取り除く、穢れ祓いの儀式ではないかと思ったのだ。

 仮説でしかない。しかし、あながち間違っていないような気がしている。

 ただ、さすがに眠い。

 家に帰ったはいいものの、なかなか寝つけない。そういえば、いつもの祝福をしていなかった。祝福をする。途端、寝る時間だと身体が認識したらしい。私の意識はそこで途切れた。

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