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面倒くさがりの飲食店店員(女)の日常  作者: 美月


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人はわざわざ座る席を変えようとはしない。

 偶々入ってきた情報で、久々に関東方面に出ることにしていた。イベントがあったからだ。

 マーケターのイベントだった。世界一と言われるマーケターが来日して講演をしてくれるのだ。

 そのため、ホテルや新幹線も手配してイベントに参加した。

 すると。あまりに煌びやかで、どうにも落ち着かない。イベントの関係でホテルまでの送迎バスも混み合い、なかなか道中大変であった。

 イベントは正直言って、おもしろかったところもあれば、よくわからないなと思うところもあった。

 ホテルでのイベントだったので、イベントのホテルに宿泊している。

 が、落ち着かない。久々にテレビを見られたことは良かった。歌番組をたまに観るのも楽しいものだ。

 あぁ、今、朝食会場のカフェ前でシェフが料理の最終チェックをしている。

 最終チェックは大事だ。抜けがないかの確認をすることで仕事の質は上がる。

 微に入り細に穿つ。

 それは、最後の詰めをしてこそ、良い仕事と言われるものは、できるのだろう。

 朝食はブュッフェ形式で、お腹パンパンになるまで食べてしまった。

 案内された席は二人席で、私は一人。

 ご飯を食べて、カフェラテを飲んで。

 座る席を変えてみたりして、気づいた。

 座る席の一つからはガーデンが見える。2階なので、風や雨で樹木の葉がさわさわと揺れている様子が見える。

 もう一つの席は、お店の中の様子がよくわかる。どこに人が座っているのか、お客と店員の様子、入口から人が入ってくるタイミング、赤ちゃんを抱っこ紐で抱っこしながら、ビュッフェを取っている人もいる。

 友人や夫婦、家族で談笑している人も。

 まるで、経営者と雇用してる人の見方のようにも思えた。

 経営者はたくさんの人の情報、時流の流れを読んで事業を回す。

 ただ、そこに雇用されている人が見えているものは見えない。

 雇用されている人は、ただ自分の仕事をするだけでいい。ただ、その分可能性は限定されている気もする。

 座る位置によって、見えるものが変わる。

 それは、人間関係や仕事の立ち位置にも通じるものなのだろう。

 大抵の場合、一人でご飯を食べているからと席を変えることはないと思う。

 人と一緒であれば尚更だ。人が座っている位置にわざわざ席を交換してまで座ることはしない。

 だから、気づかない。一人でご飯を食べて、座る位置を変えて、ようやく気づいた。

 人は無意識でも面倒を避けて、座る位置を変えることさえもやらないのだ、と。

 けれど、どちらの席も見えるものが違う。

 見えるものが違えば、捉え方も変わる。

 そして、自分の背中の景色は自分では見えづらく、向かい合っている相手からはよく見える。

 当たり前のこと。当たり前すぎて気づけないほど。けれど、とても大事なこと。

 人は時にそれを人間関係や仕事の中で気づかずによく忘れてしまうんじゃなかろうか。

 こんなこと、私もホテルの朝食のビュッフェに一人で行かなければ、気づかなかった。

 おもしろいと思う。さて、そろそろお腹も満腹になったし、部屋の荷物も片付けたい。

 カフェラテを飲み終えたら、部屋に戻ろう。

 今日はイベント2日目だ。その前にイベントで出された宿題をやろう。

 つづきはまた明日。

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