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何もしてないのに、幽霊だけ勝手に成仏していくおじさん ~スロプーおじさんは除霊なんてしたくない~  作者: Samail
4章 おじさんと迷子

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87話 反省お化け

夕方。


公園。


昼の熱が、まだ少しだけ残っている。

ベンチに座ると、 木の感触が、じんわりと背中に伝わってくる。


「……。」


袋を開ける。

からあげ弁当。


まだ、ほんのり温かい。


「……。」


一口。

油の味。

塩気。

空腹に沁みる。

現実。


「……。」


さっきのことを、思い出す。


「……。」


小さい背中。

走る姿。

振り返った顔。


『……ありがとう。』


「……。」


箸が、止まる。


「……。」


あれで、よかったのかな。


「……。」


ちゃんと、 納得して行けたんだろうか。


「……。」


お母さんは何も知らないままだ。

あの人の中には、 “何もない日”として残る。


「……。」


それって。


「……。」


それで、いいのかな。


「……。」


もう一口。


味が、さっきより分かりにくい。


「……。」


あたし。


「……。」


ただ、 自己満足したかっただけなんじゃない?


「……。」


助けた、って思いたかっただけで。


「……。」


もっと早く見つけられたかもしれない。


「……。」


あの時おじさんに、手伝ってもらえば。


「……。」


あの人なら、 もっと雑に、 でも、あっさり終わらせた気がする。


出来なかったのは私のわがまま。


「……。」


「……。」


風が、少しだけ吹く。

葉が揺れる音。

遠くで、子供の声。


「……。」


現実。

いつも通りの夕方。


「……。」


「……おう。」


声。


「……。」


顔を上げる。


「……。」


おじさん。

いつの間にか、前に立ってる。


「……。」


缶コーヒーを、差し出される。

いつかと反対の構図。


「……。」


受け取る。

冷たい。


「……。」


プルタブを開ける音が、 やけに大きく響いた。


「……。」


おじさんは、 何も言わない。


隣に座る。

ブラックコーヒーを一口。


「……。」


少しだけ顔をしかめる。


「……。」


苦いんだろうな。


「……。」


なんでそれ選ぶんだろ。


「……。」


「……ねえ。」


「……。」


「……あたしがしたことって、間違ってた?」


「……。」


おじさんは、 缶を見ながら、少しだけ考える。


「……さあな。」


興味なさそうに言う。


「……。」


「……。」


分かってた。

聞いても仕方ないって。


「……。」


でも。


「……。」


「……あの子さ。」


「……。」


「ちゃんと、納得できたのかな。」


「……。」


言いながら、 少しだけ、目を逸らす。


「……。」


おじさんが、 小さくため息をつく。


「……。」


「……あくまで俺の主観だが。」


「……。」


一口。

また、苦そうな顔。


「……。」


「……あいつらはさ。」


「……。」


「勝手に寄ってきて、勝手に帰る。」


「……。」


「……。」


「だから、帰ったってことは——」


「……。」


「そういうことだろ。」


「……。」


それだけ。


「……。」


「……。」


缶を持つ手が、 少しだけ緩む。


「……。」


もう一口。


甘い。

さっきより、ちゃんと味がする。


「……。」


「……ありがとうね、おじさん。」


「……。」


おじさんが、 少しだけ、困ったような顔をする。


「……。」


居心地悪そうに、 視線を逸らす。


「……。」


「……じゃあな。」


立ち上がる。


「……。」


そのまま、歩き出す。


背中。

少しだけ、猫みたい。


「……。」


「……。」


見送る。


「……。」


その背中が、 向こうを向いた瞬間。

暖かい風。


「……おつかれさま。」


声。


「……。」


息が、止まる。


「……。」


懐かしい。


あまりにも。


「……。」


大事だった声。


「……。」


「……。」


ゆっくり、辺りを見回す。


誰もいない。


「……。」


でも。


「……。」


確かに、聞こえた。


「……。」


幻聴?


「……。」


分からない。


「……。」


でも。


「……。」


胸元。

ほんのり、温かい。


「……。」


勾玉が少しだけ、光った気がした。


「……。」


「……。」


夕方の風が、 静かに通り抜ける。


「……。」


隣。


誰もいない。


「……。」


でも、確かに、感じた。

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