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何もしてないのに、幽霊だけ勝手に成仏していくおじさん ~スロプーおじさんは除霊なんてしたくない~  作者: Samail
4章 おじさんと迷子

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82話 意気消沈お化け

※視点がしばらく変わります。

夜。


部屋の中は静かで、やけに広く感じた。

時計の音だけが、やけに耳につく。

一定のリズムで刻まれるそれが、

余計に眠気を遠ざけている気がした。


「……。」


天井を見上げる。

暗い。

何もない。

それなのに——


「……。」


頭の中は、妙に騒がしい。


「……なに、あれ。」


ぽつり。

思い出す。

ホールの光。

リールの音。

隣に座る、おじさんの顔。


「……。」


あの無気力魚ヤロー。


「……。」


いや。


「……。」


でも、あの人って、あんな感じだったよね。

最初から。

握手拒否られてるし。


「……。」


分かってたはずだけど。


「……。」


なんで、あんなに期待したんだろ。


「……。」


胸の奥が、少しだけざらつく。


「……。」


「……はあ。」


寝返りを打つ。

シーツが、少しだけ冷たい。


「……。」


「……むかつく。」


小さく呟く。

言葉にしたら、少しだけ楽になるかと思ったけれど。


「……。」


あんまり、変わらなかった。


目を閉じる。

浮かぶのは、やっぱり同じ顔。


「……。」


「フライパンかなんかで殴ってやろうかしら。」


結局、その日は、あまり眠れなかった。


ーーーーーーーー


翌日。


帰り道。


仕事が少し長引いたせいで、

いつもより遅い時間になっていた。


空は暗くて、

街灯の光だけが頼りない。


風はぬるいのに、

どこか冷たさを帯びている。


「……。」


歩く。

足音が、やけに響く。

人の気配は、ほとんどない。


「……。」


この時間は、あんまり好きじゃないな。

なんとなく、そう思う。


理由は、多い気がするから。


「……。」


その時。

ふと、足が止まる。


「……。」


違和感。


「……。」


何もない。

見える範囲には、誰もいない。


「……。」


それでも。


「……。」


いるな、これは。


「……。」


少しだけ、息を整える。


目を細める。


ピントを、合わせる。


「……。」


空気が、揺れる。

歪む。

ざらつく。


「……。」


前より、楽だ。


無理に見ようとしなくても、

少しだけ、輪郭が浮かぶ。


「……。」


慣れてきた、のかもしれない。

それが、少しだけ怖い気もする。


「……。」


視線を動かす。

電柱。

その影。


「……。」


いた。


「……。」


小さい。


しゃがみ込む。

目線を落とす。


「……。」


「……ねえ。」


声。

かすれてる。

でも、確かに聞こえる。


「……。」


胸の奥が、少しだけ揺れる。

怖さじゃない。


もっと、違う何か。


「……どうしたの?」


声をかける。

できるだけ、ゆっくり。


「……。」


「……おかあさん。」


小さな声。


「……。」


「……。」


そっか。


「……。」


立ち上がる。


夜空を見る。

何も変わらない。

いつも通りの夜空。


「……。」


でも。


「……。」


さっきより、

少しだけ違って見えた。


「……。」


「……探そっか。」


小さく言う。


理由は、ちゃんとある。

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