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何もしてないのに、幽霊だけ勝手に成仏していくおじさん ~スロプーおじさんは除霊なんてしたくない~  作者: Samail
3章 おじさんと昔日

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71話 過去のお化け

※しばらく視点が変わります。

「……は!?」


いつものホール。

の、はずだ。


音。 光。 リールの回る感じ。


全部、同じに見えるのに。


「……。」


台の上。


「……いない。」


いつも寝転がってるやつ。

だらっとしてる、あいつ。

いない。


視線をずらす。

景品カウンター。


「……。」


じっと見てるやつ。

あれも、いない。


「……珍しいな。」


小さく呟く。


代わりにいるのは、 知らないやつばっかり。


島の端に立ってるやつ。

誰もいない台の前で、手だけ動かしてるやつ。

通路にしゃがんでるやつ。

床をなぞってるやつ。


「……。」


いる。

いるけど。


「……こんなやつら、いたっけ?」


知らない。

一人も、分からない。


「……。」


なんだこれ。

少しだけ、歩く。


床。

見慣れない床。

何か古くさい。


音。

リール。


「……古くね」


ぽつり。

目に入る台。

パネル。

ランプ。

筐体。


「……。」


古い。

はっきり分かる。


「……いや。」


首を振る。


「……こんなもんだっけ。」


分からなくなる。

でも、違う。

確実に、違う。


「……。」


歩く。

通路。

人の流れ。

なんか、遅い。

というか、少ない。

客の服。

少しだけ、違う。


「……。」


胸の奥がざらつく。

理由は分からないのに、

分かりたくない感じだけはある。


「……なんなんだよ。」


小さく、吐き出す。


壁。

ポスター。

新台入替。

イベント。


「……。」


目が止まる。

日付。


「……は?」


一瞬、止まる。

もう一回、見る。

同じ。


「……いやいや。」


「……いやいやいやいや。」


目を逸らす。


「……そんなわけないだろ。」


もう一回、見る。

変わらない。


「……。」


意味が分からない。


笑える。

笑えない。


「……なんだこれ。」


声が少しだけ乾く。


その時。


入口。

自動ドアが開く音。


「……。」


視線が向く。

入ってくる。

二人。

スーツ。


「……。」


見覚えが、ある。


「……は?」


一歩、近づく。


いや、近づいてない。


気持ちだけ。


「……おい。」


声が出る。

届いていない。


でも出る。


「……おい」


一人。

もう一人。

横。

少し前。

笑ってる。


「……。」


おじさん。


「……は?」


いや。

違う。

同じ。

でも。


「……若くね?」


髪整えてる。

不精髭ない。


そして、空気。


少しだけ。

ほんの少しだけ。

違う。


「……。」


隣。

もう一人。


「……。」


知らない人。


「……。」


二人で、島に入っていく。


並ぶ。

座る。

自然に。


「……。」


何も、言えない。


「……なんだよ。」


目で追う。


座る。

レバーオン。

リールが回転する。

止める。

外れる。


「……。」


目押しは相変わらず少し早い。


「……。」


あぁ、やっぱり。

これは、おじさん、か。


「……。」


目が離せない。


「……なんだよ、これ」


知らないホールで。

知ってるやつが。

少し違う形で、そこにいた。

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