64話 増えたお化け
喫茶店。
テーブル。
煙草に火をつける。
吸う。
吐く。
煙が上に伸びる。
半分なくなったパフェ。
新しく追加されたパフェ。
でかいのが、二つ。
セイコがスプーンを入れる。
隣。
女。
同じパフェを食べている。
「……。」
「……。」
「……。」
しれっといる。
「……なんでいるの?」
セイコが聞く。
「友達だから。」
女は短く答える。
「友達!?そ、そっか。」
「いや?」
「嫌じゃないけど。」
「そう。」
それだけ。
スプーンを動かす。
「……。」
コーヒーを一口。
「増えたな。」
「たぶん、あれの関係者だよね。」
ユウトが言う。
「たぶんな。」
「そうだよ。」
少し居心地が悪そうだ。
女は俺とユウトをチラ見する。
「……変。」
「うるさいよ。」
少しだけ間。
セイコが女を見る。
「……あのさ。」
「なに。」
「昨日もらったこれなんだけど。」
勾玉を出す。
「うん。」
「これ、どうやって使うの?」
「肌身離さず持つ。私たちはネックレスにしてる。」
「えーっと?」
それだけ。
また食べる。
「……。」
静か。
スプーンの音だけ。
「……。」
セイコの手が止まる。
「……。」
目を細める。
ピント。
ざらつき。
ユウトを見る。
ユウトはビクビクしている。
「……。」
ノイズ。
「……そこ。」
小さく呟く。
女のスプーンが、止まる。
「……。」
一拍。
「それ。」
女が言う。
「……。」
セイコを見る。
「ズレてないよ。」
「……え?」
「だから見えない。」
「……。」
言葉が止まる。
「……どういうこと?」
「そのまま。」
それだけ。
また食べる。
「……。」
セイコはもう一度、目を細める。
同じ場所。
ノイズ。
でも。
「……。」
輪郭がない。
「……あるのに。」
ぽつり。
女が言う。
「あるよ。」
「……。」
「そこに。」
短く。
「ただ、ずれてない。」
「……。」
分かるような。
分からないような。
「……。」
セイコはゆっくり視線を戻す。
ノイズは消える。
「……。」
女は何事もなかったみたいに食べている。
「……甘い。」
「でしょ。」
「おいしい。」
「うん。」
「しあわせ。」
それだけ。
「……。」
煙草を一口吸う。
ユウトがぼそっと。
「……ねぇバレたらどうしよう?」
「……マズいのか?」
「いや、マズいって言うか。」
「……。」
セイコはもう一度だけ、目を細める。
でも。
今は、見ない。
「……疲れる。」
「言った。」
「うん。」
女はスプーンを置く。
「無理しない方がいい。」
「……うん。」
「そのうち分かる。」
「……ほんとに?」
「たぶん。」
「たぶんなんだ。」
「分かられるとこまるんだけどなぁ。」
ユウトがいう。
少しだけ。
セイコが笑う。
「……。」
店内は静か。
外は、まだ明るい。
パフェは、少しずつ減っていく。
見えているものと。
見えていないものが。
同じテーブルにある。




