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何もしてないのに、幽霊だけ勝手に成仏していくおじさん ~スロプーおじさんは除霊なんてしたくない~  作者: Samail
2章 おじさんと旅行

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63話 パフェのお化け

昼下がり。


喫茶店。

冷房。

静か。

少しだけ、人が少ない。


「……涼しい。」


セイコが小さく言う。


「最高だ。」


「暑すぎだよね。」


「そうだな。」


席に座る。

水。


「……生き返る。」


「大げさ。」


メニューを開く。


「これにする。」


指差す。

写真。


『ビリオンゴッドネスパフェ』


なにこれ。

ときめく。


「……だいぶでかいが。」


「いける。」


「そうか。」


店員を呼ぶ。


「これ一つ。」


「かしこまりました。」


「……。」


少しだけ間。


「おじさんは?」


「アイスコーヒー。」


「それだけ?」


「それだけだ。」


「つまんない。」


「そうか。」


ユウトが横で笑う。


「おじさん、いいの?甘いの好きでしょ、実は。」


「ソソソソンナコトナイヨ。」


しばらくして。


来る。

パフェ。

でかい。


うまそう。


「……。」


「……。」


「……。」


「でか。」


「でかいね。」


「でかいな。」


「でしょ。」


セイコが少し嬉しそうに笑う。

スプーンを入れる。


うまそう。


「……。」


一口。


「……おいしい。」


「……そうか。」


「それだけ?」


「うまそうだな。」


「食べる?」


え!?!?


「……いや。」


ほんの少しだけ間。


「……そう。」


ユウトが小さく笑う。


「ほんとにいいの?」


「当たり前だ。」


強め。


「そう。」


「そうだよ。」


静か。

スプーンの音だけが少し響く。


「……。」


セイコの手が止まる。


「……。」


視線。

おじさんの横。


「……?」


目を細める。

ピントを合わせる。

ざらつき。

空気の歪み。

その中に。


「……。」


一瞬だけ。

ノイズ。

テレビの砂嵐みたいな。


「……今の。」


目を戻す。

消える。


「……。」


もう一度。

ゆっくり。

ピントを合わせる。


「……。」


また。

ノイズ。

今度は、少しだけ長い。

ユウトを指差す。


「……そこ。」


ユウトがビクンとする。


「どうした?」


「……。」


言葉に詰まる。


「……分かんない。」


でも。


「……いる気がする。」


「心臓が止まるかと思った。」


もう止まってんだろ、おまえ。 


「……なんか、変。」


「変なのはいつもだろ。」


「そうじゃなくて。」


ユウトの方を見る。

青ざめている。

器用。


セイコはもう一度、目を細める。


「……。」


ノイズ。

でも。

形にはならない。


「……わかんない。疲れた。」


ぽつり。

スプーンを置く。


「……やっぱり。」


小さく呟く。


「見すぎると、疲れるって。」


「そうか。」


「こういうことか。」


「見なければいい。」


「見なくていいなら楽なんだけど。」


「そうか。」


「そうだよ。」


ユウトが横で言う。


「これ、時間の問題じゃないかな。」


脂汗。

器用。


少しだけ息を吐く。


パフェを見る。

少しだけ溶けている。

うまそう。


「……急がないと。」


「そうだな。」


またスプーンを入れる。


「……。」


その時。


「……あ。」


セイコが顔を上げる。


入口。

扉が開く。

女が入ってくる。

誰かに似ている。


「……。」


「昨日の……。」


小さく手を上げる。


「昨日は、ありがとうございました。」


女がちらっと見る。


「……!。」


驚いた様子。


その勢いでこっちの席まで来る。


「また増えた。」


ため息と同時に氷がカランと溶けた。

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