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何もしてないのに、幽霊だけ勝手に成仏していくおじさん ~スロプーおじさんは除霊なんてしたくない~  作者: Samail
2章 おじさんと旅行

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49話 ワクワクお化け

昼。


いつものホール。


いつもの匂い。

いつものBGM。


レバーオン。

リールが回転する。

止める。

外れ。


「ちょっとおじさん?」


セイコ。


「おう。」


「おう、じゃないわよ。」


セイコ、紙を広げる。


「はいこれ!」


「……。」


見る前に嫌な顔。


「旅のしおり!」


「いらん。」


「見て!」


「自由にやりたい。」


「沖縄だよ!?」


「そんなことは分かってる。」


「なんで!?」


「スロット打つから。」


「ずっと?」


「ずっと。」


露骨に引いた顔。


しおりをしぶしぶ見る。

字、多い。


「……多い。」


「当たり前でしょ!?」


「無理だ。」


「なんで!?」


「多いから。」


「全部大事なの!」


「一人で行け。」


「せっかく作ったのに!?」


「頼んでないが。」


「……。」


「……。」


ユウト、覗く。


「……詰めすぎだな。分刻みて。」


セイコ、続ける。


「初日!海!」


「海物語か。」


「行く!」


「パチンコかあ。」


「違うよ!?」


「スロットの方がいいな。」


「……。」


「二日目!観光!」


「アンコウは6だな。」


「なんの話!?」


「海物語。」


「打たない!!」


「……。」


間。


「三日目!」


「まだあるのか。」


「帰る前にもう一回海!」


「いや、ハナハナかな。」


「……。」


ユウト、少し笑う。


「……元気だな。」


セイコ、まだ喋ってる。


「でね!お土産も——」


「……モノより思い出。」


「今のままだとスロット打ってるだけだよ!?」


「それがいい。」


「よくない!!」


「十分だ。」


「足りないよ!」


「足りてる。」


「足りない!」


「……。」


言い合い。

止まらない。

ふと。

横。

ユウト。


「……俺ももちろんついていくからな。」


「……これるんか?」


「たぶん?」


「そうか。」


「うん。」


少し間。


「……沖縄、か。」


「……いるかもな。」


「何が。」


「こういうの。」


自分を指さす。


「いらん。」


「増えるかも。」


「やめろ。」


「賑やかになる。」


「……。」


セイコ。

振り返る。


「何ブツブツ言ってんの?」


「独り言だ。」


「こわ。」


「……。」


「じゃあ明日ね!」


「……明日か。」


「準備あるから帰るね!」


「……。」


「遅刻しないでよ!?」


「起きてたら行く。」


「起きて!!」


「……。」


セイコ、走ってく。

元気。

静かになる。


「……。」


少し間。

ユウト。


「賑やかになりそうだね。」


「……。」


小さく息。


レバーオン。

リールが回転する。

止める。

ーーー当たり。


口許が緩んだ。


回るリール。


その向こう。


知らないホール。

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