表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何もしてないのに、幽霊だけ勝手に成仏していくおじさん ~スロプーおじさんは除霊なんてしたくない~  作者: Samail
1章 おじさんと日常

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/107

46話 揃い出すお化け

夜。


公園。

昨日と同じ場所。


街灯。

風は少し冷たい。


ベンチ。

いる。

同じ位置。

同じ向き。


「……いるな。」


「うん。」


セイコ。


ユウトは何も言わない。

ただ、見てる。


「……。」


目を細める。

変わってない。

昨日と同じ。


「……どうするの?」


セイコ。


「どうもしない。」


「それじゃ意味ないじゃん。」


「あるだろ。」


「どこに?」


「見に来ただけだ。」


「それ昨日も言ってた。」


「今日もだ。」


「進展ゼロじゃん。」


「まあな。」


「……。」


少しだけ間。


セイコ、ベンチを見る。


「……やっぱりさ。」


「……。」


「待ってるっていうより。」


「……。」


「止まってる、だよね。」


「……。」


ユウト、わずかに頷く。


「……あー。」


煙草。

火。

点ける。

吸う。

吐く。


「……で?」


「で、って?」


「それでどうする。」


「……どうにかする。」


「方法は?」


「……。」


無言。


「ほらな。」


「うるさい。」


「……。」


風。

少し強い。

その時。

ベンチの女。

わずかに。

ほんの少しだけ。

顔が動く。


「お。」

「あ。」

「え。」


ハモんな。


「今、動いたよね?」


「……たぶんな。」


ユウト、じっと見る。


「……今。」


小さく。


「気づいた。」


「……何に。」


「……来てる。」


「……。」


セイコ、振り返る。


「なに?なんかあった?」


「いや。」


「なんでもない。」


「絶対あるじゃん。」


「キノセイダヨ。」


「それ昨日も聞いた。」


「……。」


ベンチ。

女はまた、止まっている。

でも。

さっきと少しだけ違う。


「……もう一回。」


セイコ、近づく。


「すみません。」


風。

揺れる。


「……。」


「……来てる。」


ユウト。


「……。」


「おい。」


声をかける。


「……。」


一瞬。


女の視線が、ほんの少しだけ動く。


セイコの後ろ。

何もない場所へ。


「……。」


セイコ、振り返る。

何もいない。


「……?」


ユウト、そこを見る。


「……いる。」


「……来てたな。」


「え?」


「何が?」


「終わってる。」


「は?」


「待ってたやつは、もう来てた。」


「……。」


セイコ、もう一度ベンチを見る。


女。

少しだけ。

肩の力が抜ける。


「……。」


風。

抜ける。

女の輪郭が。

少しずつ。

薄くなる。


「……あ。」


セイコ。


「……。」


ユウトは何も言わない。

ただ、見る。


女は。

そのまま。

ほどけるように。

消えた。


「……消えた?」


セイコ。


「まあな。」


「……なんで?」


「そういうもんだ。」


「……。」


少し間。


「……でもさ。」


「……。」


「なんか、ちゃんと終わった感じする。」


「……そうだな。」


ユウト、小さく頷く。


「……帰るか。」


「うん。」


「……。」


三人、歩き出す。


街灯の光りが優しく見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ