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何もしてないのに、幽霊だけ勝手に成仏していくおじさん ~スロプーおじさんは除霊なんてしたくない~  作者: Samail
1章 おじさんと日常

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33話 スッキリお化け

夕方。


風はぬるい。


「……。」


ペダル踏む。

ギィ、と鳴る。

白い愛車。


「……。」


止まる。

見覚えある自販機。


「……。」


いる。

最初から。


「……おう。」


「……どうも。」


暗い顔。

セイコ。

缶、二本。


「はい。」


飛んでくる。

取る。

冷たい。


「……なにしてる。」


「なにも。」


「……そうかよ。」


開ける。

一口。

甘い。

ちょっと幸せ。


「……。」


隣。

距離、少し。

風は、ぬるい。


「……。」


「ねえ。」


「なんだよ。」


「……ちょっといい?」


「よくない。」


「いいから。」


「……。」


めんどくさい。

もう一口。


「……。」


セイコ、少しだけ真面目な顔。


「……あのさ。」


「……。」


「……ユウトって——」


「ぅあーーんあーーーーんはーーーー!!」


「……。」


横。

知らない顔。

透けている。

近い。

歌ってる。

うるさい。


「……うるさいよ。」


「りーりーほーーーーーーんぁああ!!」


「……。」


少しだけ、顔を背ける。


距離、半歩。

それでも近い。


「……。」


セイコ、なんか言ってる。


「——でさ、だから——」


「るぅうううんぇええええーーーん!!」


聞こえない。

サビ?

ご機嫌。


「……。」


「……ほんと、うるさいな。」


それだけ。

視線、外す。


「……。」


「あぁーーーんんんー……」


少しだけ、音が落ちる。


「……。」


「——でもさ、私、——」


「ららるっ!!んはぁあっはあーーん!!」


またでかい。

大サビ?

入ってる。


「……。」


ため息。

一口飲む。


「……。」


何も見てない顔。


「……。」


幽霊、止まる。

少しだけ。


「……。」


こっちを見る。


「……。」


「……満足かよ?それで。」


ビクン。

幽霊も、セイコも。


もう一口。


「……。」


「……。」


幽霊、揺れる。

輪郭、薄くなる。


「……。」


消える。

音もなく。


「……。」


やっと静かになった。


「……。」


風はぬるい。


「……。」


セイコ、止まってる。

口、閉じたまま。


「……。」


「……で?」


「え?」


「なんの話だよ。」


「……。」


少しだけ、間。


「……ううん。」


首、振る。


「もういい。」


「は?」


「……なんか。」


「……。」


「すっきりした。」


「……。」


缶、傾ける。


「……ずっと、引っかかってたのに。」


小さい声。


「……。」


「……あれ、別に。」


「……。」


「私のエゴだったのかも。」


「……。」


一口飲む。

うん、わからん。


「……。」


「ねえ。」


「なんだよ。」


「……なんかさ。」


「……。」


「軽くなった。」


「……は?」


「ううん。」


少しだけ笑う。

前より、軽い。


「……。」


「ありがと。」


「何が。」


「……さあ。」


「……。」


「色々。」


「何もしてない。」


「してるよ。」


「してない。」


「……。」


また笑う。


「……。」


飲みきる。

軽い。


「……。」


「じゃあ。」


「おう。」


「……帰る。」


「おう。」


「……。」


少し歩く。

振り返る。


「……おじさん。」


「なんだよ。」


「……立ち止まるのって悪いことかな?」


「何が。」


「……ううん。」


それだけ。


「……。」


行く。

背中、小さい。


「……。」


一人。

缶。

ゴミ箱。

ポイ。


「……。」


「……なんだよ。」


特に何もない。


「……。」


イングラム。

またがる。

ペダル踏む。

ギィ、と鳴る。


「……。」


「どいつもこいつも勝手が過ぎる。」


ひと息。


「……でも意外と上手かったな、歌。」


空は高く、赤かった。



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