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何もしてないのに、幽霊だけ勝手に成仏していくおじさん ~スロプーおじさんは除霊なんてしたくない~  作者: Samail
1章 おじさんと日常

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30話 いつまでもお化け

いつものホール。


ドアが開く。

いつもの匂い。

いつものBGM。


「……。」


一歩、入る。


少しだけ見回す。

いる。


「……。」


目が合う前に、逸らす。

そのまま歩く。

台には行かない。


奥。

喫煙所。

ドアを押す。

煙。

少し重い。


「……。」


壁にもたれる。

ポケット。

煙草。

ライター。

火。

吸う。

吐く。


「……。」


誰もいない。

煙だけ。

上に逃げて、消える。


「……。」


少しだけ、間。


ドアをすり抜けて来る。


「……。」


入ってくる。


「……。」


見なくても分かる。


「……おせぇよ。」


それだけ言う。


「……うん。」


隣に立つ。

少し距離。


何も持ってない。

何もしてない。

ただ、いる。


「……。」


吸う。

吐く。


「……顔、悪いな。」


「……は?」


少し遅れて返ってくる。


「死にそうな顔してる幽霊って洒落か?」


「ケンカ売ってんの?」


4万回殺されそうだ。


「……。」


煙が揺れる。


「……。」


少しだけ間。


「……なあ。」


「ん?」


「……。」


止まる。


「……なんでもない。」


「そうか。」


それで終わり。

追わない。


「……。」


もう一回吸う。


「……。」


横目。


立ってるだけ。

どこ見てるか分からない。


「……。」


前にも、こういうのはいた。

大体——

ろくなことにならん顔だ。


「……。」


煙を吐く。

ため息を乗せて。


「……なあ。」


今度はこっちから。


「……なに。」


少しだけ間。


「どうすんだよ。」


止まる。


「……。」


初めて、ちゃんと止まる。


「……わかんない。」


「そうか。」


それでもいい。


「……。」


沈黙。

煙だけ動く。


「……でも。」


小さい声。


「……このままも、なんか違う。」


「……。」


「……なんか、引っかかる。」


「……。」


吸う。


吐く。


「……なら。」


短く。


「好きにしろ。」


それだけ。


「……。」


ユウトは動かない。

煙を見る。

上に行って、消える。


「……。」


少しだけ、目で追ってる。


「……。」


しばらくして。


「……なあ。」


「ん?」


「……どっか、行けるかな。」


「行けるやつは行く。」


「……。」


「行けねえやつは、残る。」


「……そう。」


そんなもん。


「……。」


少しだけ間。


「……ありがと。」


「別に。」


横を見る。


「……。」


いない。


「……。」


煙だけ。

さっきと同じ。

少し違う。


「……。」


最後に一口。


火を消す。

ポケット。

ドアを押す。

音と光。

いつものホール。


「……。」


少しだけ間。


「……まあ。」

歩く。


台に座る。

レバーを叩く。

リールが回転する。

少しだけ、腹をさする。

止める。

ーーーランプが光った。


「わるくない、か。」



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