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何もしてないのに、幽霊だけ勝手に成仏していくおじさん ~スロプーおじさんは除霊なんてしたくない~  作者: Samail
1章 おじさんと日常

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24話 当たってほしいお化け

いつものホール。


いつものBGM。


いつもと違う幽霊が一人。


「……なあ。」


「……なんだよ。」


「……あの女。」


「……ああ。」


「……なんか、嫌だ。」


「……は?」


「ぞわぞわするっつーか……なんか、変だ。」


「気のせいだろ。」


レバーオン。

リールが回転する。

止める。

外れる。


「幽霊のくせに、惚れたか?」


「……は?」


「どうも。」


「……。」


横から声。

後ろからユウト悲鳴。

ーー出たとかお前が言うな。


「……。」


少しだけ視線を向ける。

セイコが立っている。


「今日も来ちゃいました。」


「……好きにすればいい。」


「はい。」


椅子を引く音。

隣に座る。


「……。」


「……。」


少しだけ、間。


「……なんだよ。」


「いえ。」


「……なんか、今日は静かですね。」


「そうか?」


「……うん。」


レバーオン。

リールが回転する。

止める。

——外れ。


「……。」


「……。」


「……あの。」


「……。」


「この台。」


「……なんだよ。」


「なんか、嫌な感じしません?」


「……しない。」


即答。


「……そうですか。」


小さく頷く。


「……。」


「……いる。」


「……。」


「……なにが。」


「台のとこ。」


「……。」


レバーオン。

リールが回る。

止める。

——外れ。


「……。」


見えているのか?


「……いるね。」


ユウトの視線が、リールの奥に向く。


「……。」


「……。」


セイコが、少しだけ眉を寄せる。


「……なんか、冷たい感じする。」


「……。」


「風もないのに。」


「……気のせいだろ。」


「……うん。」


でも、視線は外さない。


「……。」


レバーオン。

リールが回る。

止める。

——外れ。


「……。」


「……なあ。」


「……。」


「こいつ、ずっと見てる。」


「……。」


「……。」


「……分かんねえ。けど。」


少しだけ、間。


「当たり、見てる。」


「……。」


「……。」


セイコの視線が、台に落ちる。


「……。」


「……なんか。」


小さく呟く。


「……当たらない人、って感じ。」


「……は?」


「……ずっと、当たらなかった人。」


「……。」


「……そんな感じ。」


見えてはいないのか。


レバーオン。

リールが回る。

止める。

——外れ。


「……。」


「……。」


「……なあ。」


「……。」


今、話しかけんな。


「もういいだろって言ってやれよ。」


「……。」


「……こいつに。」


「……。」


「……。」


セイコが、ゆっくり息を吐く。


「……ねえ。」


「……。」


「一回、当ててみません?」


「……は?」


「この台。」


俺の台を指さす。


「……なんでだよ。」


「……なんか。」


少しだけ、迷って。


「……終わってない感じ、するから。」


「……。」


「……。」


「……。」


ユウトが黙る。


「当てられるもんなら当てたいさ。」


レバーオン。

リールが回る。

止める。

——リーチ目。


「お。」


「お。」


ハモんな。


音が、少し遅れて鳴る。


「……すご。」


セイコが、少しだけ笑う。


「……。」


「……。」


「……どうした。」


「……消えた。」


「……。」


「……。」


セイコが、少しだけ目を細める。


「……。」


「……今、軽くなった。」


「……気のせいだろ。」


「……そうかも。」


でも、少しだけ笑う。


「……。」


ボーナスが始まる。

音が、いつもより静かに感じる。


「……。」


「……なあ。」


「……。」


「あいつさ。」


「……。」


「満足したんだな。」


さあな。


レバーを叩く。


「……。」


「……でも。」


セイコが、ぽつり。


「……よかったですね。」


「……何が。」


「……ちゃんと、終われて。」


「……。」


「……。」


レバーオン。

リールが回転する。

止める。

——外れ。


「……。」


「……。」


少しだけ、間。


「……ねえ、おじさん。」


「……。」


「また来てもいいですか?」


「……。」


一瞬だけ、考える。


「……次は自分で当てな。」


「うん。」


少しだけ、笑う。


「……。」


「……なあ。」


「……。」


「あいつ。」


「……。」


「やっぱ変だ。」


「……。」


「……お前がいうなよ。」


席を立つ。

喫煙所に向かう。


煙草を取り出して

100円ライターで火をつける。


一息。


煙は夕空に吸い込まれ、やがて。

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