19話 止まらないお化け
いつものホール。
レバーオン。
リールが回転する。
止める。
——周期当選。
「……お。」
「また?」
「まただな。」
ATに入る。
音が鳴る。
光が走る。
「……。」
「どうした。」
「いや。」
「なんか薄くなってきた?」
「なってねーよ。」
コインが増える。
「今日、軽いな。」
「そう?」
「さっきから当たってる。」
「たまたまでしょ。」
「その“たまたま”が大事だろ。」
「……。」
レバーオン。
リールが回転する。
止める。
——上乗せ。
「ほら。」
「……。」
「流れ来てるな。」
「そうかもね。」
言いながらも、声は平坦。
「なんだ、そのテンション。」
「別に。」
「楽しくないのか。」
「楽しいよ。」
「そうは見えない。」
「ガキじゃあるまいし。」
「ガキだろ。」
「うるさい。」
計数の数字が上がっていく。
1000枚、
2000枚。
「……増えてきたな。」
「まあな。」
「どこまで行くと思う。」
「さあ。」
「万枚とか。」
「……。」
少しだけ間。
「いけるかもね。」
「だろ?」
「今のおじさんなら。」
「魅せてやろう。」
「……。」
レバーオン。
リールが回転する。
止める。
外れ。
ーーー復活。
「……。」
「ほんとすごいな。終わらない。」
「だね。」
「流れがいい。」
「なに言ってんの、ヒキ弱の伝承者のくせに。」
「うるさいよ。」
少し時間が経つ。
さらに増える。
終わらない。
「……おい。」
「なんだ。」
「これ、ほんとにあるぞ。」
「行けるかもね。」
「万枚。」
「万枚。」
ハモんな。
ユウトは画面を見る。
数字が伸びていく。
「……いけるかもな。」
「だろ?」
「……。」
どこか遠い。
「なあ。」
「なんだ。」
「万枚出たらさ。」
「おう。」
「どうすんの。」
「だから言ってるだろ。」
「……。」
「嬉しいって。」
「……。」
「スロッターの夢だろ?」
「……そう、だね。」
レバーオン。
リールが回転する。
止める。
——2度のエンディング。
「ほらな。」
「……すごいね。」
「すごいだろ?」
「うん。」
数字が増える。
5000枚。
6000枚。
周りが少しだけ見る。
「……目立ってきたな。」
「誰も見てないよ。」
「そうだな。」
「……。」
少しだけ間。
「……帰る?」
「は?何言ってるんだよ。」
「そうだよね。」
「なんでだよ。」
「……なんか。」
「なんかじゃわからん。」
「そうなんだけど。」
少しだけ静かになる。
リールの音だけが響く。
「……辞めるわけ、ないだろ。」
「そうだね。」
「ここでやめたらもったいない。」
「……。」
レバーに手を置く。
「……万枚、いくかもね。」
「いくだろ。」
「……どうだろ。」
「ヒキ弱の伝承者を返上する時が来たようだな。」
「気が早いでしょ。」
レバーオン。
リールが回転する。
止める。
——上乗せ。
「お。」
「ほらな。」
「……。」
終わらないAT。
音が鳴る。
光が走る。
ユウトは、画面を見る。
増えていく数字。
「……。」
「どうした。」
「……いや。」
「なんだよ。」
「……出すぎると、さ。」
「おう。」
「つまんなくなるね。」
「は?」
「なんか飽きて来る。」
「負け続けるよりましだろ。」
「……それは、そうか。」
リールは回る。
筐体からの音がやけに大きくて。




