145話 逃げなかったお化け
※おじさん視点
夕方。
帰り道。
「……。」
白いママチャリ。
イングラム。
「……。」
ギィ。
ペダルが、少し重い。
「……。」
「……。」
ユウト。
なんか、 最近、 静かじゃない。
「……。」
こそこそしてる。
「……。」
たまに、 手を伸ばしてる。
「……。」
触れてない。
「……。」
いや。
たまに、 触れてる。
……練習か。
「……。」
セイコ。
あいつも、 変わった。
「……。」
前より、 見えてる。
「……。」
四割くらいか。
たまにユウトとズレ漫才やってる。
「……。」
まあ、
あいつらしいか。
「……。」
サクラ。
あいつは、
「……。」
機嫌いいな。
「……。」
たぶん何か見つけてる。
「……。」
新しいのか。
観察対象か。
「……。」
……キクエか。
「……。」
「……。」
ギィ。
ペダルを踏む。
「……。」
「……。」
いいよな。
「……。」
変わるやつらは。
「……。」
変わる幅がある。
「……。」
「……。」
俺は、
「……。」
変わらない。
「……。」
変わらなくていい。
そう思ってる。
「……。」
「……。」
立ち止まる。
少しだけ、
空を見上げる。
ふと、喉の乾きに気付く。
自販機。
見つける。
何にしよう。
誰もいないし、
甘いものでも飲んで、
流し込んでしまおう。
ピ。
「あ。」
間違えた。
ブラック。
「あーあ。」
開ける。
プシュ。
飲む。
「……苦い。」
少し覚めた頭で、
色々考える。
でも、
浮かんでは消えて、
消えては浮かんで。
ベンチに座る。
ポケットまさぐる。
煙草。
100円ライター。
火をつける。
吸う。
吐く。
「……まあ、こんなもんか。」
白い煙に言葉は消されて。




