143話 『この町の七不思議 その7 オーブ』
※アラト視点
『この町の七不思議 その7
――常に写り込む“オーブ”――』
新聞部 記者:キクエ
本町において、「特定の人物が撮影した写真および映像に、共通して不明な光球が写り込む」という現象が報告されています。
本紙では、過去の記録を精査し、当該現象の有無および特徴の確認を行いました。
■観測結果
過去に撮影された複数の映像および写真において、共通する光球状の像が確認されました。
当該像は撮影環境や時間帯に関わらず出現しており、再現性の高い現象である可能性が考えられます。
■出現条件について
現時点において明確な条件は確認されていませんが、特定の観測者が関与している可能性が高いと推測されます。
また、当該像は他の観測者の記録にはほとんど確認されていません。
■対象の特徴
・小型の球状の光として観測される
・複数の現象(人面犬、踏切、花子、口裂け女等)に共通して出現
・移動軌跡は不明瞭であり、静止または瞬間的な出現が多い
■他現象との関連性
過去の観測記録において、複数の対象が「異臭」に関する発言を行っていることが確認されています。
具体的には、「変な臭いがする」という発言の後、観測対象が急激に行動を変化させる事例が複数存在します。
本現象との直接的な関連性は不明ですが、同一の要因である可能性が考えられます。
■考察
本現象は、単なる光学的な現象ではなく、特定の存在の可視化、もしくは記録の一形態である可能性があります。
また、他の七不思議と同様に、観測・記録の蓄積によって現象が固定化されている可能性も否定できません。
■総括
本件は、本町における他の現象と強い関連性を持つと考えられ、七不思議の一つとして記録するに値すると判断します。
なお、本現象の対象が何であるかについては、現時点では不明です。
――――――――――
放課後。
部室。
「……。」
紙を机に置く。
「どうでしたか。」
キクエ。
「……いや。」
少し考える。
「……怖いっていうか、気持ち悪いなこれ。」
「そうですね。」
「認めんのかよ。」
「事実です。」
「……。」
まあ、そうなんだけど。
「……。」
少しだけ、間。
「……なあ。」
「何でしょう。」
「……これさ。」
紙を指で叩く。
「……ずっと写ってたってことだよな?」
「はい。」
「……。」
「……全部に?」
「はい。」
「……。」
沈黙。
「……。」
「……あれさ。」
「はい。」
「……口裂け女の時。」
「……。」
「……変な臭いって言ってたじゃん。」
「はい。」
「……。」
「……花子さんも言ってたよな。」
「……。」
「……。」
キクエは少しだけ考える。
「……言ってました。」
「……。」
「……人面犬も、おそらく臭いを感じ取ったのではないかと。」
「……。」
「……。」
「……じゃあさ。」
「……。」
「……全部、同じもん見てたってことか?」
「……。」
キクエは、ゆっくり頷く。
「可能性は高いです。」
「……。」
「……。」
部室。
静か。
「……。」
「……なあ。」
「何でしょう。」
「……それってさ。」
「……。」
「……この“オーブ”のことじゃね?」
「……。」
キクエは少しだけ首を傾げる。
「……。」
「……現時点では、そう断定することはできません。」
「……なあ。」
「……。」
「……これ、さ。」
「……。」
「……俺に憑いてたり?」
「……。」
キクエは答えない。
ただ、
少しだけ、
笑った。
「……しないよ、ね?」
「……飴、いります?」
「いらんわ!!!!」




