141話 『この町の七不思議 その6 カーブミラー』
※アラト視点
『この町の七不思議 その6
――少し遅れて映るカーブミラー――』
新聞部 記者:キクエ
本町において、「特定のカーブミラーにおいて、観測者の動作と一致しない挙動が確認される」という現象が報告されています。
本紙では、当該現象の再現性および挙動の確認を目的とし、現地調査を行いました。
■観測結果
対象のカーブミラーにおいて、観測者の動作に対し、わずかな遅延が発生する現象を確認しました。
当該遅延は一定ではなく、観測の継続に伴い拡大する傾向が見られました。
■現象の進行について
観測を続けた結果、対象は単なる遅延にとどまらず、観測者と異なる挙動を示す段階へ移行することが確認されました。
具体的には、観測者が静止している状態においても、ミラー内の像が独立して移動する挙動が見られました。
■危険性について
当該現象は、対象が遅延して見えることによる、交通事故の恐れ。カーブミラーとしては致命的な点があげられます。
■対処について
観測中止および対象からの離脱により、現象の収束が確認されました。
ただし、収束後の再現性は確認されておらず、同条件下での再発については不明です。
■考察
本現象は、単なる視覚的遅延ではなく、「観測者と対象の位置関係そのもののズレ」が発生している可能性が考えられます。
今後の検証が必要です。
■総括
本件は、観測行為そのものが現象を進行させる特性を持つ可能性があり、従来の七不思議とは異なる危険性を内包しています。
本町における七不思議の一つとして記録するに値すると判断します。
なお、本現象については現在再現が困難であり、追加観測は未定です。
――――――――――
放課後。
部室。
「……。」
紙を机に置く。
「どうでしたか。」
キクエ。
「……いや。」
少し考える。
「……確かにカーブミラーとしては致命的だけどっ!!」
「当然です。」
「当然なんだけどっ!」
「事実です。」
「……。」
「……。」
少しだけ、間。
「……あれさ。」
「何でしょう。」
「……なんで消えたんだよ。」
「……。」
キクエは少しだけ考える。
「恐らく、誰かの介入によるものかと。」
「……は?」
「確証はないのでなんとも言えませんが。」
「……。」
「……誰かが直したってこと?」
「はい。」
「……誰ができるんだよ、そんなこと。」
「確証はないのでなんとも言えません。」
あー、わかってんなこいつ。
俺にはさっぱりわかんねぇけど。
「……なあ。」
「はい。」
「……あんまり危ないことばっかりするなよ?」
キクエは珍しく一瞬驚いた顔をした。
しかし、すぐ不適に笑い、
「大丈夫です。」
「そうですよねぇ。」
「……アラト君も道連れなので。」
部室。
静か。
え、時、止めた?
ってか、道連れって、なに?
「……。」
窓の外。
夕方。
「……。」
「……これでさ。」
「はい。」
「……六個目だよな。」
「はい。」
「……。」
「……残り一つか。」
「そうなります。」
「……。」
少しだけ、間。
「……。」
「……なあ。」
「何でしょう。」
「……最後のやつって、何なんだ?」
「……。」
キクエはノートを見る。
ゆっくりと、
ページをめくる。
「……。」
キクエが、ぽつり。
「……。」
「……七つ目は。」
「……。」
「……たぶん、」
「……。」
「……近くにあります。」
「実はーーー」




