140話 引き寄せるお化け
※サクラ視点
翌昼。
同じ場所。
「……。」
小さな交差点。
赤い縁のカーブミラー。
「……。」
静か。
相変わらずズレている。
隣のセイコ。
飴舐めてる。
私も欲しい。
「……。」
「……どう?」
「……。」
見る。
ミラーじゃない。
その手前。
空気。
「……。」
「……やっぱり大分ズレてる。」
「……。」
「……やっぱりか。」
セイコ、小さく息を吐く。
「……。」
「……放っとくと?」
「……。」
少しだけ、考える。
「……。」
「……繋がるね。」
「……。」
「……あそこに。」
「……。」
カーブミラーの奥の奥。
きさらぎの文字。
セイコは何も言わない。
でも、
たぶん分かってる。
「……。」
一歩前に出る。
「……。」
手を伸ばす。
ミラーじゃない。
その前。
「……。」
触れる。
「……。」
何もない。
でも、
「……。」
指先が、
少しだけ沈む。
「……。」
「……。」
「……戻って。」
小さく。
「……。」
回すように。
押す。
「……。」
空気が、
歪む。
「……。」
ズレていたモノが、
ぴたりと、
合う。
「……。」
静かになる。
「……。」
「……これでいい。」
手を下ろす。
「……。」
セイコが、少しだけ笑う。
「……。」
「……ありがとう。」
「……。」
「……飴。」
「……飴?」
「報酬、飴。ちょうだい。」
セイコは笑い、2袋もくれた。
嬉しい。
でもどれだけ持ってるの?
その時。
「……。」
足音。
「……。」
振り向く。
「……。」
アラト。
キクエ。
カメラ。
「……。」
「……あれ?」
アラトが言う。
「……。」
「……なんで二人ともいるの?」
「……。」
「……ちょっと気になったからね。」
セイコはちょっと困ったように言った。
キクエがミラーを見る。
「……。」
普通。
完全に。
「……。」
何もない。
ズレない。
遅れない。
「……。」
「……。」
「……あれ?何もないな。」
「……。」
「……。」
アラト。
「……。」
「……いや。」
「……。」
「……昨日は遅れたよな?」
「……。」
「……あれ?」
「……。」
キクエ、首を傾げる。
「……。」
「……再現性、不明です。」
「……。」
「……。」
「……。」
キクエはこっちを見てる。
じっと。
「……。」
ああ、やっぱり。
この子は私と似ている。
自分の興味に素直。
だから危険。
セイコは私達とは違う。
ちゃんと区別している。
アラトも私達と違う。
何も感じていない。
だけど、キクエは。
この子は。
危うい。
興味を持ったら何処までもいける。
しかも、たぶん。
何かを感じ取れてる。
昔の私を見ているようで。
あぁ、そうか。
サイ兄も、スズ姉も。
こんな気持ちだったのか。
アラトは不思議そうにミラーを眺める。
キクエは恨めしそうに私たちを見つめる。
たぶん、遠くないうちに、キクエは来る。
たぶん、セイコではなく私のところへ。
この子は危うい。
でも。
この子が見える未来も楽しそうだ。




