134話 大事なものをなくしたお化け
※おじさん視点
朝。
いつものホール。
いつもの匂い。
いつものBGM。
お気に入りの台。
派手に負けず、派手に勝たない。
そんな台。
レバーオン。
リールが回転する。
止める。
外れ。
「……ちょっとはやい。」
「うるさいよ。」
いつものやり取り。
もう一回。
レバーオン。
リールが回る。
そう言えばこの間セイコが来て、妙なことを言ってた。
……木更津駅が、どうとかこうとか。
飴が美味しかったとか、
ユウトがなんとかとか。
まあ、あんまり覚えてはいない。
止める。
外れ。
レバーオン。
回る。
七不思議だか都市伝説だかで忙しいらしい。
いいことだ。
こんな中年とスロット打ってるより全然生産的?だろう。
……いや、どうかな。
いい年こいて、不思議不思議言ってるのもどうかとは思うが。
「……俺ってさ、変な臭いする?」
不思議代表みたいな奴が明後日な質問を投げてくる。
「……何言ってんの?」
止める。
外れ。
「何かさ、人面犬?にも花子さん?にも変な臭いするって言われたんだよね。」
「ぶふっ。」
「え、ひどくない?俺、結構気にしてんだけど!?」
何だよ、臭い気にする幽霊とか。
レバーオ「大切なものをなくしたんだ。」ン。
回る。
止める。
外れる。
青白い顔。
透けてる。
男。
「一緒に探してくれな……。」
「断る。」
唖然とした顔。
「せめて最後まで聞いてあげようよ。」
えぇ、めんどい。
「……、はぁ。なに。」
「!ありがとう!大切なモノをなくしたんだ。探してくれないか!?」
「断る!」
レバーオン。
回る。
「大切な……、モノなんだ。」
「……。」
止める。
ーーーー当たり。
「「お。」」
ハモんな。
「……。」
頭を掻く。
「……どこでなくした。」
「!!ありがとう!こっちだ!!」
「……ボーナスがおわったらな。」
笑うな、変な臭いがする幽霊め。
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夕方。
「……なあ。」
ユウトが聞く。
「なんだよ。」
「なんであいつ、センヌキが大切なモノだったんだろう。」
「……。」
「もっとあるじゃん?きっと。」
「人それぞれだろ。そんなもんは。」
「いや、そうなんだけどさ。」
「そんなことより、早く戻って続き打つぞ。」
「ブレないねぇ、おじさん。あれ?」
ユウトが止まる。
止まるんじゃないよ、急いでるんだ。
「おじさん、アレ。セイコ達じゃない?」
ユウトが指差した方を見る。
セイコ、アラト、キクエ、それとあと一人。
妙に身長の高い真っ白なワンピースを着た女がいた。




