131話 『この町の七不思議 その4』きさらぎ駅②
※セイコ視点
夜。
駅。
「……。」
静か。
古い駅名板には『きさらぎ』の文字。
さっきのキクエちゃんの説明で確信した。
ここは違う。
「……。」
少し前からあった違和感。
電車に乗った時?
どこからかはわからない。
「……。」
今は、分かる。
「……。」
「……じゃあ、そうしようぜ。」
アラト君の声。
「線路、歩けばいいんだろ?」
「はい。」
キクエちゃんも、頷いてる。
違う。
「……ダメ。」
小さく言う。
「え?」
アラト君。
「……なんで?」
「……それ。」
少し言葉を探す。
「……それ、多分。」
「……。」
「……変なところに、行くよ?」
「は?」
「……。」
うまく言えない。
でも。
「……違う。」
線路を見る。
暗い。
でも。
「……。」
「……あれ。」
指差す。
「……。」
「……何もないだろ。」
「……あるよ。」
「……。」
見えてる。
うっすら。
たぶん、ズレてる。
『ピントを合わせる感じ。』
思い出す。
「……。」
「……。」
口の中の飴を転がす。
味が変わっている。
「……。」
“層が変わった”
『……重なってるだけです』
思い出す。
「……。」
やっぱり。
「……アラト君。」
「なに?」
「……ここ、」
「……。」
「……一枚じゃない。」
「……は?」
「……重なってる。」
「……。」
キクエちゃんが、少しだけ目を細める。
「……なるほど。」
「わかんのかよ!?」
「……。」
もう一度、飴を舐める。
「……。」
少しだけ、
違う。
「……。」
「……多分。」
「……来たときと、違うとこにいる。」
「……。」
「……。」
「……戻るなら。」
線路じゃない。
「……こっち。」
振り返る。
駅の奥。
「……。」
暗い。
何も見えない位。
真っ暗。
『……見ようとしないでください。』
『……そのまま、下をこちらへ持ってくるように。』
思い出す。
思い出す。
「……。」
「……そっち、何があんの?」
「……分かんない。」
正直に言う。
「……でも。」
「……こっちの方が、近い。」
「……。」
「……。」
「……行くよ。」
自分でも驚くくらい、
迷いはなかった。
私がやらなきゃ。
おじさんも、サクラも今はいないんだから。




