128話 『この町の七不思議 その4』準備
夜。
都内。
「……人、多すぎ。」
思わず言う。
「そう?」
セイコさん。 普通。
「いや多いでしょ、もう夜だよ?」
「まあ、ちょっと多いね。」
ちょっとじゃなくないか?
「……。」
周り。
人。人。人。
「……。」
歩く。
「では、向かいます。」
キクエ。
「資料によると、この先にあります。」
「資料って何。」
「インターネットです。」
「歩きスマホは危ないよ。」
「問題ありません。」
「……。」
まあいいけど。
「……。」
しばらく歩く。
駅構内。
人の流れ。
土産屋。
「ここです。」
キクエが立ち止まる。
「……。」
店。
ガラス。
明るい。
中に並んでいるのは——
飴。
なんか。
思ってたのと違う。
「……。」
色が、やたら綺麗。
透明。 キラキラしてる。
形も、
「……なんか、丸くないな。」
「加工されています。」
「何その言い方。」
「通常のものとは異なります。」
「……。」
セイコさんが覗き込む。
「かわいい!」
「……。」
可愛いのか?
飴だぞ?
「……。」
キクエが真剣な顔で棚を見る。
「該当するものを探します。」
「この綺麗なやつじゃないのか。」
「特徴は把握しています。」
「どんな。」
「光沢があります。」
「……。全部あるじゃん。」
「……。」
ええ、特徴以上じゃないよね?
「……。」
キクエの手が止まる。
「……これです。」
「……。」
指差す。
少し奥。
他と違って、
やけにシンプルな箱。
「……地味だな。」
「これです。」
「なんで。」
「一致しています。」
「何が。」
「ネットの情報と。」
「ネットの情報か。」
「これを、買います。」
断言した。
「……。」
セイコさんが横から覗く。
「ほんとにこれ?」
「はい。」
「……。」
まあいいか。
「……。」
レジ。
セイコさんは他の飴も大量に買ってた。
どうすんの、そんなに。
食べるの?
食べるのか。
「……。」
外。
人の流れ。
だいぶ夜も更けている。
「……あ。」
セイコさん。
「だいぶ遅くなっちゃったね。」
「……そうだね。」
「仕事終わりだったし。」
「……。」
「急ごっか。」
「……。」
駅へ。
「……。」
さっきより人が減ってる。
「……。」
ホーム。
静か。
「……。」
「終電だね。」
セイコさん。
「……マジかよ。」
「乗り遅れたらどうすんの。」
「どうにかなるでしょ!」
「タクシーだとヤバイことになるよ?」
「……。」
電車が来る。
ガタン。
「……。」
乗る。
「……。」
中の人は少ない。
終電ってこんなもん?
「……。」
座る。
「……。」
静か。
「……。」
キクエがノートを開く。
「何してんの。」
「記録です。」
「いる?飴買っただけだぜ?」
「必要です。」
「……。」
そうですか。
「……。」
セイコさんが伸びをする。
「疲れたー。」
「……。」
俺も。
「……。」
電車が動く。
「……。」
外。
暗い。
「……。」
トンネル。
「……。」
ガタン。
ガタン。
「……。」
その時。
「……?」
一瞬。
電気が、
揺れた。
「……。」
「……。」
「……。」
誰も何も言わない。
「……。」
電車は、そのまま進む。
「……。」
外の光がやけにぼんやりしていた。




