126話 『この町の七不思議 その3』花子さん②
「……。」
向こうからのノック。
「……。」
静か。
「……。」
キクエが、ゆっくりドアに手をかける。
「……開けます。」
「いきなり!?」
ガチャ。
「……。」
開く。
「……。」
中。
「……。」
いた。
「……。」
女の子。
小さい。
髪が長い。
顔色が悪い。
「……。」
普通にいる。
「……。」
「……え。」
思わず声が出る。
「……迷子?」
「……。」
女の子は、こっちを見てる。
「……。」
なんか。
「……。」
すごい、じっと見てる。
「……。」
キクエが一歩前に出る。
「……。」
やめろって。
「……。」
「質問します。」
「……。」
女の子、少しだけ首を傾げる。
「……。」
「あなたは、迷子ですか?」
「……。」
間。
「……。」
「……ちがう。」
「……。」
「違うの!?」
思わず言う。
「……。」
女の子は、ゆっくり首を振る。
「……。」
「では、あなたは『花子さん』ですか?」
「やめろって。」
「必要です。」
「何がだよ。」
「確認です。」
「……ちがう。」
「……ではあなたのお名前は?」
「……。」
女の子。
少し考える。
「……。」
「……ない。」
「……。」
「……え?」
ない?
「……。」
キクエがメモを取る。
「名前なし。」
「……余裕、だね。」
「重要ですから。」
「重要、か?……重要、か。」
「……。」
女の子が、ゆっくり口を開く。
「……。」
「……ここ、じゃない。」
「……。」
「……?」
「……。」
キクエが聞く。
「位置の誤認ということですか?」
「……。」
「……。」
女の子は、首を振る。
「……。」
「……ちがう。」
「……。」
「……じゃあ何なんだよ。」
「……。」
少しだけ、間。
「……。」
「……待ってる。」
「……。」
「……は?」
「……。」
キクエがすぐに反応する。
「待機対象について教えてください。」
「やめろ。」
「何を待っているのですか?」
「やめろって。」
「対象の特定が——」
「……変な臭いがする。」
その時。
女の子の視線が、
すっとズレる。
「……?」
俺たちじゃない。
「……。」
ベンチ。
おじさんの方。
「……。」
その瞬間。
「……!」
女の子が、動いた。
「……!?」
一歩。
外に出る。
「……!」
そのまま。
「……!」
おじさんの方へ。
駆け出す。
「……!?」
そして、おじさんの横を。
通りすぎる。
「……。」
そのまま。
「……。」
公園の外へ。
「……。」
消えた。
「……。」
静か。
「……。」
何もない。
「……。」
「……。」
キクエがノートを見る。
「……対象、花子さんではありませんでした。」
「そこなの!?」
「分類の修正が必要です。」
「そこじゃねえよ!!」
「……。」
セイコさんが、小さく言う。
「……。」
「……まただね。」
「……?」
「……。」
答えない。
「……。」
ベンチ。
「……。」
おじさんは、煙草。
「……。」
サクラがぼそっと言う。
「……。」
「……あっち。」
「……?」
何が。
「……。」
「……。」
夜の公園は、不気味なほど静かだった。




