124話 巻き込まれていくお化け
※おじさん視点
昼。
いつものホール。
いつもの匂い。
いつもの音。
「……。」
レバーオン。
リールが回転する。
止める。
外れる。
「……。」
もう一回。
レバーオン。
「……なんかさ。」
横。
ユウト。
「……。」
「こないだ、俺セイコに付いてったじゃん?」
「憑いていったな。」
止める。
外れる。
「アラトだっけ?あいつがいい反応するからさ。」
「……。」
「つい悪戯したんだよね。踏切ダッシュ。」
「……ガキだな。」
「いい反応するんだもん。でさ、たぶんなんだけど。」
「……。」
「キクエ?女の子の方。俺のことうっすら認識してるっぽいんだよね。」
レバーオン。
「……気のせいだろ。」
「いや、たぶん違う。セイコほど認識はしてないみたいだけど。」
「……。」
回る。
止める。
外れる。
「次はおじさんもいこうぜ。」
「……なんでだ?」
「キクエは、たぶん、マズい。セイコだけじゃいざって時止められない気がする。」
「……はぁ。」
ぶっちゃけ知ったことではない。
知らないままなら無視することもできた。
知らないままなら。
レバーオン。
回る。
「……。」
「どうも!」
声。
後ろ。
セイコ。
「トイレ!!」
「……行ってこい。」
「違うよ!次はトイレの花子さんだって!」
学校の怪談系な。
じゃあ俺、無力だわ。
学校のトイレなんかそもそもは入れないし。
ザンネンダナー。
「いつかの公園の公衆トイレ!」
何でだよ。
何出張してんだよ。
学校のトイレで満足しとけよ。
止める。
外れる。
「……行かん。」
「なんで!?」
「……女子トイレだろ?なら俺は行けない。」
「多目的トイレだって!!」
多目的トイレで何してんだよ。
女子トイレだろ。
相場が決まってるだろうよ。
「……。」
レバーオン。
回る。
「……。」
「絶対来てよね!?」
「……考えとく。」
「やった!!」
「……行くとは言ってないぞ。」
「おじさん、いやならいかんっていうもん。」
「……。」
小賢しい。
横でユウトが小さく笑う。
「……。」
その時。
「……やっほー。」
後ろから声。
振り向くまでもない。
サクラ。
「……。」
いつの間にかいる。
「……遭難してない?」
「……何がだ。」
「……確率の宇宙で。」
「うるさいよ。」
ごーすとばすたーずのクセに。
レバーオン。
回る。
「……。」
「……最近、賑やか。」
「……そうだな。」
静かにスロット打たせてくれないかな。
「……。」
「……。」
セイコがサクラを見る。
「サクラも来るよね!?花子さん!!」
「……行く。」
「やった!」
「……。」
小さく言う。
「……あれ、じゃあ俺行かなくてよくない?」
サクラ来るならどうにでもなるだろ。
「何で!?」
「……いろいろだ。」
「だから何!?」
「……。」
回る。
止める。
――当たり。
「「「「お。」」」」
ハモんな。
あー、煙草吸いたい。
そもそもトイレの花子さんって、学校の七不思議じゃねぇの?
そんなことを考えた。




