123話 『この町の七不思議 その2 踏切』
『この町の七不思議 その2
――鳴り続ける踏切の音――』
新聞部 記者:キクエ
本町において、「遮断機が作動していないにもかかわらず、踏切の警報音のみが鳴り続ける」という現象が確認されています。
本紙では、当該現象の発生条件および危険性の有無について、現地調査を行いました。
■観測結果
夜間、対象の踏切において、周囲に列車および通行人が存在しない状況下で、警報音のみが断続的に発生することを確認しました。
遮断機は上がったままであり、警報灯の作動も見られませんでした。
■追加検証
踏切内に人が立ち入った際、警報音の変化が確認されました。
具体的には、継続していた警報音が一時的に単発音へと変化し、その後再び元の状態へ戻る挙動が見られました。
■考察
本現象は、列車の接近を知らせる通常の警報とは異なり、「通過」を前提とした動作を示している可能性があります。
しかしながら、実際には列車の通過は確認されておらず、詳細な原因は不明です。
■危険性について
直接的な危害は確認されていませんが、異常な警報音により判断を誤る可能性があります。
夜間の踏切通行には十分な注意が必要です。
■総括
本現象は、本町における七不思議の一つとして記録するに値すると判断します。
なお、現象の再現性および追加条件については、引き続き検証を行う予定です。
――――――――――
放課後。
部室。
「……。」
紙を机に置く。
「どうでしたか。」
キクエ。
「……いや。」
言葉に詰まる。
「……怖いっていうか。」
「はい。」
「……意味分かんなかった。」
「そうですね。」
「……認めんのかよ。」
「事実です。」
「……。」
それはそうだけど。
「……。」
キクエはもう次のページを開いている。
「次です。」
「……まだやんの?」
「まだ二つ目ですよ?」
「……。」
やる気が怖い。
「……次は何。」
「公衆トイレです。」
「……。」
嫌なワード来た。
「“花子さん”。」
「……学校じゃねえの?」
「いえ。」
キクエは首を振る。
「今回は、公園のトイレです。」
「……公園?」
「はい。」
「……なんで公園。」
「目撃情報があるためです。」
「……。」
納得したくない。
「……。」
キクエはペンを走らせる。
「個室の奥からノック音がするとのことです。」
「……人だろ?」
「呼びかけに応じると、返答があるとされています。」
「……人だよ、きっと。」
「検証が必要です。」
「必要かな!?」
「必要です。」
即答だった。
「……。」
部室。
風が入る。
カーテンが揺れる。
「……。」
トイレ。
夜。
ノック。
「……。」
とても、行きたくない。
「……。」
カキーン。
野球部のホームランがやけに遠く感じた。




