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何もしてないのに、幽霊だけ勝手に成仏していくおじさん ~スロプーおじさんは除霊なんてしたくない~  作者: Samail
7章 おじさんと七不思議

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122話 『この町の七不思議 その2』踏切②

静か。


さっきまで鳴っていた音は、もうない。


「……。」


早く帰ろうよ。


そう思ってる。

思ってるんだけど。


「……。」


誰も、動かない。


セイコさんは思案顔。


キクエ。


「さっき。」


「……。」


「……何か、いました。」


「……。」


え、

何急に。


「……。」


でも。


「……見えたわけじゃない。」


「……。」


「……。」


キクエはノートを見ている。


「検証に移行します。」


「……移行すんの?」


「必要です。」


「……。」


即答だった。


「……何すんの。」


「確認です。」


「……何の。」


「現象の条件。」


「……。」


怖い言い方すんな。


「……。」


キクエは踏切を見る。


「遮断機は上がったまま。」


「ランプは点灯していない。」


「音のみ発生。」


「……。」


ぶつぶつ言ってる。


「……。」


「アラト君。」


「……なに。」


「踏切の中に入ってください。」


「は?」


「一歩で構いません。」


「……。」


は?


「……やだ。」


「なぜですか。」


「呪われそうじゃない?」


「合理的ではありません。」


「非合理が起きてんだよ!」


「……。」


キクエは少しだけ考えて、


「では、私が。」


「やめろって!」


一歩、踏み出そうとする。

反射で腕を掴む。


「……。」


「……危険性は低いです。」


「わかんねぇだろ!?」


「……。」


その時。


「……二人とも。」


セイコさん。


「……なに。」


「……私が入ってみるよ。」


「……。」


キクエ、こっち見る。

やめろ、その目。


「……。」


「……いや、俺が行くよ。」


変な汗が出てくる。


「一歩だけな。」


「はい。」


キクエが頷く。


「……。」


踏切を見る。


「……。」


何もない。


「……。」


ゆっくり。

足を上げる。


「……。」


踏み込む。

カン。


「……?」


音。

一回だけ。

鳴る。


「……?」


振り向く。


「……。」


何もない。


「……。」


もう一歩。

踏み込もうとした、その時。


カン、カン、カン。


「……!」


音が、戻る。


「……!」


慌てて戻る。


「……!」


音。

止まる。


「……。」


「……。」


「……。」


「……俺が入ると、止まった?」


「……。」


キクエがノートを見る。


「……逆です。」


「は?」


「アラト君が入った時のみ、“単発の音”に変化しました。」


「……。」


「継続音ではない。」


「……。」


セイコさんが小さく言う。


「……。」


「……これ。」


「……。」


「来る音じゃない。」


「……は?」


「……。」


「……待ってる音。」


「……。」


空気が、少し変わる。


「……。」


誰もいない踏切。


「……。」


なのに。


「……。」


“通るのを待ってる”。


「……。」


キクエが静かに言う。


「……条件が見えてきました。」


「見えてきた?」


なんか置いてかれてる感覚。


「現象は、通過を前提としています。」


「……通過。」


「音は、合図です。」


「……。」


「“通れ”という。」


「……。」


その時。

ふと、さっきのことを思い出した。


その考察が正しいとすれば


“俺たちは誰も通っていない。”


“なのに音は止まった。”


考察が間違っている可能性もある。

だけど、これが正しいと仮定するなら。


さっき、この踏み切りを、



“何かが、通った?”



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