120話 追いかけられるお化け
※ユウト視点
夜。
パチンコ屋の出口へ向かってる。
「……終わった。」
横のおじさん。
「……。」
今日はそんなに出てない。
まあ、いつも通りだ。
「……帰るか。」
自動ドアが開く。
おじさんが分かりやすくビクンとする。
セイコ。
知らない子供二人といる。
あー、なんか都市伝説がどうとか言ってたな。
「おじさん!来てくれたの!?」
「……出口、ここしかないだろ。」
「じゃあ一緒にいこうか!」
うわぁ、おじさん。
絶対忘れてたじゃん。
すごい焦ってる。
珍しい。
「え?……あぁーー。……今回だけだぞ。」
そうだよね、おじさんはそうだ。
この人、何だかんだ断りきれねぇもん。
確か後ろの知らない二人は中学生だったか。
生意気そうな男の子に、委員長っぽい女の子。
「……。」
あれ?
「……。」
女の子、こっち見てない?
「……。」
いや、見えてないよね?
俺のこと。
「……。」
とかなんとか考えてたらサクラも合流。
どうやら男はアラトで女はキクエというらしい。
アラトがサクラにからかわれて動揺している。
なーんか、妙に親近感沸くなー。あいつ。
振り回される系な匂いがぷんぷんする。
ってかすごいな、キクエ。
おじさんやサクラにガンガン行くじゃん。
おじさん、職業、確率の宇宙を泳いでいるって何?
いつも漂流してんじゃん?
サクラもごーすとばすたーずって。
そうかもしれないけどさー。
「……そろそろ行くぞ。」
おじさんが言う。
「……。」
まあ、面白そうだし、俺もついていく。
夜の道。
暗い。
「……。」
その時。
「……。」
違和感。
「……。」
後ろ。
「……?」
いる。
「……。」
犬。
普通の。
たぶん。
「……。」
いや。
「……。」
違うな。
おっさんだ。
犬におっさんの顔がくっついてる。
あー、結構不気味だわ。
スゲーな、キクエのやつ。
インタビューとかできる?
あれに。
ところでさ。
「……。」
こっち、見てんだよね。
「……。」
すげー、こっち見てる。
「……。」
「……。」
一瞬。
固まる。
「……。」
次の瞬間。
「……!」
動いた。
こっちに。
「……え?」
待て。
「……いやいやいや。」
なんで。
「……。」
俺?
「……。」
「……来るな。」
小さく言う。
「……。」
犬。
止まらない。
「……。」
いやいやいやいや。
「……!」
走る。
「……ちょっ!」
やばい。
普通に速い。
「……!」
猛ダッシュ。
「……!」
振り向く。
「……!」
いる。
追ってきてる。
「……なんでだよ!」
思わず叫ぶ。
「……!」
距離が縮まる。
「……!」
「……ちょ、待てって!」
待たない。
当たり前だけど。
「……!」
全力で逃げる。
でも。
「……!」
なんか。
「……!」
逃げ切れない気がする。
「……!」
「……なんなんだよこれ!」
犬。
顔。
おっさん。
「……!」
意味が分からない。
「……!」
「……お前、変な臭いする!!」
変な犬に変な臭いって言われた!
「……!」
曲がる。
飛ぶ。
避ける。
「……!」
それでも。
「……!」
ついてくる。
「……!」
「……!」
やばい。
これ。
「……!」
無理。
「……!」
その時。
「……。」
ふっと。
軽くなる。
「……?」
振り向く。
「……。」
いない。
「……。」
犬。
消えた。
「……。」
止まる。
「……。」
息は——
別に切れない。
そういう体じゃないし。
「……。」
でも。
「……。」
なんか。
「……。」
疲れた。
「……。」
その場にしゃがみ込む。
「……。」
なんだったんだよ。
「……。」
しばらくして。
「……。」
立ち上がる。
「……。」
ちょっと泣いた。
「……なんか、めっちゃ追ってきたんだけど。」
変な臭いって言われてもな。
風呂は入れねーしな。




