102話 ツボのお化け
「セイコちゃん!」
「……はい。」
姉。
「ちょっとお話、しましょ!」
「え、あ、はい……?」
「じゃあ向こうに行きましょ!」
「え、今からですか!?」
「今がいいの!」
逃がす気ないな。
「……。」
セイコ、ちらっとこっちを見る。
助けを求めるな。
「……。」
知らん。
「じゃあセイコちゃん借りるわね!」
姉、立つ。
そのまま自然に——
「こっち!」
「え、あ、はい……!」
連れていった。
「……。」
襖、閉まる。
「……。」
連れてかれたな。
「……。」
沈黙。
「……。」
残ったのは——
俺。
カズマさん。
それと、
「……。」
ユウト。
「……。」
まだぼーっとしてる。
「……。」
「……その子。」
「……。」
カズマさん。
「……。」
ユウトを見てる。
「……。」
気づくよな。
「……。」
「……。」
ユウトも、少しだけ顔を上げる。
「……なんすか?」
「……。」
「……軽いですね。」
「……。」
「……は?」
ユウト、眉を寄せる。
「軽いってなんすか?」
「……。」
カズマさんは、少しだけ考える。
「……形が、安定しすぎているというか。」
「……。」
「……その割に密度が低いというか。」
「……。」
「……。」
カズマさん、頭いいからな。
何言ってるかよくわからん。
「……。」
「……まあ、そんなもんじゃないですか?」
適当に返す。
「……。」
カズマさん、少しだけ笑う。
「ええ。」
「……。」
「でも。」
「……。」
「珍しい、ですね。」
「……。」
それはそう。
「……。」
「普通は、ああいう状態だと——」
「……。」
そこで、止める。
「……。」
ユウト、少しだけ黙る。
「……。」
なんか、引っかかった顔してるな。
「……。」
「……よくわかんねぇ。」
小さく。
「……。」
それだけか。
「……。」
少しだけ、間。
「……。」
外。
風。
「……。」
カズマさんが、ゆっくりと立つ。
「……あまり、気にしなくていいですよ。」
「……。」
誰に言ってるんだ。
「……。」
「そのままでいれば。」
「……。」
「自然と、馴染みますから。」
「……。」
「……。」
曖昧。
「……。」
「マユ、楽しそうですね。」
「……おもちゃが出来ましたからね。」
「おも、おもちゃ、って!くくっ。」
ツボっている。
カズマさんのツボはわからん。
ユウトは。
「……。」
眉間にシワを寄せて何かを考えている。
「……。」
「くくく、おも、おもちゃ。」
カズマさん、こうなると長いからなぁ。
襖の向こう。
かすかに声。
「——だから、あの子は——」
「——でも——」
やりあってるなぁ。
遠くで鳥が鳴いている。
昼寝でもするかな。




