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【朗報】指名の依頼をされてしまう件・1

 わたし、華亥ムラクモ♡ おらおらー! どけどけぇい! きゃあ!? バイオレンス反抗期二十四時!? そうです。仏のムラクモとは私のこと♡


 ビストロ、ピストル、マエストロ!

 ムラクモタワー(プレハブ)のご近所さんにね、大衆食堂あるんだよね。ここ、炒め物とスープが美味しいから、たまに来るのん。

 ちなみに今日の気分はお魚! 大将! 異世界フィッシュの丸焼き握り……もらえるかい? さすがは知ったかぶり情報通ムラクモだぜ! ほらよ、どーん! まー、でっかいお茶漬け! おあいそ!

 ……なんつってね。


 なんか牙が物騒なお魚くんの焼き物をねぇ、食べてたのよね。こう……骨を取るのに四苦八苦しつつね。もむもむ。おいしいおいしい。

 ふぅ。なんて優雅な朝なのかしら。

 素敵なカフェテラスで、シェフの作ったオシャレな朝食に舌鼓……気分はお貴族系お嬢様わたし。


 そしたらさぁ、メガネさんからお呼び出し受けたの。「もしもし、ムラクモ? すぐに来れますか? 指名依頼が入っています」ってね。

 えぇ、またぁ? 面倒だなぁ。

 ムラクモちゃんはねぇ、自分のやりたいことしかやりたくないんですぅ。イヤだいイヤだい! おいどん他人の指図を受けるの死ぬほど嫌いなんでごわす!

 こらムラクモちゃん! わがまま言っちゃいけないわ! うえーんしくしく。


 ……お仕事なら仕方ないので向かいましょう。

 はぁーやれやれ、行きたくないなぁ。お休みになんないかなぁ(チラッチラッ)。

 どっこらSayHoと。腰が重いぜYoYo。……あー。原因不明の大爆発とかで世界滅ばないかな。いっそわたしが滅ぼしちゃおうかな。……行ってきマンモス。



 んーで、メガネさんギルド。

 ワイガヤしとる人混みを華麗に抜けて、みんなのアイドルが登壇! きゃんっ。だめよ、いけないわっ! 写真撮影は一人一枚までなんだからね♡ なんちゃって。


 さておきさておき。挨拶もそこそこに、メガネさんへ「なんのご用なの?」って聞いてみたの。そしたらねぇ……うん。

 ……長ったらしかったから、要約しちゃうんだけど。なんかすんごいお金持ちの商人がねぇ、どっかのダンジョン遺跡からお宝を持って帰ってこいって言ってるみたいなのん。

 ……自分で言うのもなんだけど、探し物をムラクモちゃんに頼むとか正気ですか?


「それ、行かなきゃダメ?」

「駄目ってことはないですよ。でも、こちらとしては行ってほしいです。探索者がこうして好き勝手やれているのも、スポンサーあってのことですからね」


 なぁーんて世知辛い世の中。

 嘆かわしいぜ、まったくよ。ちゃらんぽらんが許されないなんて、夢も希望もありゃしないじゃないのん。……そんな世界、間違ってるぜ! 革命だ!

 Yo! Yo! みんなもっと頭空っぽになろう! ちゃらんぽらんの無職になって、思考停止の人生を歩みましょう!

 そんでいつの日にか、ムラクモちゃんプリティ教団とか発生しちゃってください。教祖にして神体、超絶可愛いラブリープリティ……は長いな。

 ラブリティ・ムラクモちゃんを称えましょう。信じるものは救われちゃうよ。頭空っぽになるから。

 ……ひどい邪教だぁ。

 

「悪い話じゃないんですよ、本当に。

 ムラクモさん、二つ名持ちになったでしょ。だからね、これってスポンサーの方から渡りをつけに来てるってことなんです」

「……お金持ちの人って、あんまりいい思い出ないの。ついカッとなって殴っちゃうかもしんないよ」

「あはは。いくらムラクモさんでも、そんな理性なきケダモノみたいな行動しないでしょ。……え? しないですよね?」


 冗談だよ、もちろん。

 ちょ。しない、しないから、その肩掴みバイブレーションやめちくり。気持ち悪くなっちゃうんですケド。


 メガネさんってば「名前を売るチャンスですよ!」なんてイケイケで推してくるけど……すでに名前が売れてるから指名されているのでは? ムラクモちゃんは訝しんだ。

 ……そんなに気乗りはしてないけど、まあいいか。飽きたら帰ればいいもんね。それまではねぇ。お気楽ムラクモちゃんの『おひとり様遺跡観光旅行ツアー』しちゃお。


「あ、団体行動ですからね。くれぐれも素行には気を付けてくださいよ!」

「えぇ……?」

 



 ───



 コケコッコー! 新しい朝が来た! おはよう! 今日のムラクモちゃんも一段とぷりちー! しかも強くてえらい! ンー……。天はわたしにすべてを与えてしもうたか……自己肯定感有頂天わたし。


 目的地のさ、遺跡ってけっこう遠いらしいね。こりゃ長旅になるのかしら。面倒だなぁ。

 ……でも、異世界らしく馬車とか乗っちゃってさぁ。田園風景なんか見ながらちょっとした旅行をしちゃう感じ……ロマンだよねぇ。ちょっとワクワクしてきちゃった。……なんて思ってたけど。


 ──残念! 集合場所は駅のホームだ! 

 なんかねぇ、馬車なんかとっくに廃れてるらしいよ。……そりゃそうかって感じだけど、技術の進歩著しい世界だわね。

 モノレール……とはちょい違うかな? なんか円柱状の電車もどきで移動すんだって。


「……あんたが“暴君”さんかい? 随分と可愛らしいお嬢さんなんだなぁ。ま、ほどほどに期待させてもらうわ」


 駅に行くとね、素敵な素敵な団体行動さん達との顔合わせがあったのん。

 まずね、声を掛けてきたのはヤンキー。ジロジロ、ジトジトと値踏みの視線をぶつけてくる。……イラァ。拝観料徴収したろうかしら。

 なんだかそこはかとなくガラが悪いのん。……ま、ムラクモちゃんは頭と態度が悪いけどね! なんだとキサマこの野郎!

 四人くらいのパーティでヘッド張ってる人みたいで、他のお友達もなんかヤンキーみたいな格好しとる。

 ……てか、あーた自己紹介は? 名を名乗れぇい! そっちが一方的にこっちを知ってるってアンフェアでしょっ。……ま、名乗られても覚えられないと思うけど。もうっ! ムラクモちゃんのバカ! 無能! 虫けら知能! 


「……ギルド『窮鼠の牙』所属、クリム・スカードレッドよ。得物は槍で、炎と支援の魔法が得意よ。一応、どんな距離にも対応はできるわ」


 おお! れっちん! れっちんじゃないか!

 ムラクモちゃんのラブリーヘッドをぺちこーんした、反乱分子め! 許さへんぞ! ええーい出会え出会え! 即刻成敗せよ! 死ぬのは貴様だーっ! グサー! ……なんでムラクモちゃん、すぐ死んでしまうん?


「……アンタ、腕っぷしは凄いのかもしんないけど、今日は戦闘より探索がメインよ。……キュリア草握り潰して持ってきた時みたいな雑な仕事はやめなさいよね」


 ぬぼーってしてるとね、腕組みしたれっちんが容赦のない正論パンチを放ってきたの。ムラクモに致命的大ダメージ!

 ムラクモちゃん悪くないもん! か弱い女の子なんだもん! うわーん! この世の全てが脆いのが悪いんだー!

 まー! 他責はいけませんわよムラクモちゃん! 強い力を持って生まれた者は、より強い者を捻り潰す役目を負いますのよ! ……すいません。それ、蛮族界の掟でしょうか?


「レイラ・アシュベリーと申します。ギルドには所属していない、フリーランスですの。武器は刺突剣。癒しの魔法が得意ですので、傷を負ったら遠慮せずにお声がけくださいね」


 我が大親友兼飼い主じょーちゃん! 自己紹介しながらこっちに手を振ってくれたので、ペットのチャリクモちゃんも必死でお手々フリフリし返しちゃう。


「次はちゃーちゃんの番ですわよ、自己紹介」


 そうなの? あ、そうか(納得)。

 このお仕事が、『おじょー様と一緒! ウキウキ遺跡旅行ツアー』に進化したことにワクワクしてたら、そんなお言葉をもらっちゃう。


 ……ふむ。

 せっかくだし、俺はれっちんとおじょー様の真似してみるぜ!


「わたし、華亥ムラクモ♡ 殴って砕いて圧し潰すのが得意な、ホームレス系探索者♡ ……よろしくね」


 しらー。

 ゔっ、ギャグが滑ったみたいな空気になっちゃった。何故でしょうねぇ……(すっとぼけ)。

 おじょー様以外からすんごくドン引きした視線をぶつけられてるんですケド……。ゔっ、胸が! 

 おい、れっちんキサマ! 今鼻で笑ったの見たぞ! 絶対ゆるさぬぇ!

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