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【朗報】指名の依頼をされてしまう件・2

 わたし、華亥ムラクモ♡ 任侠映画に影響されて羽織なんか着てるけど、正直夏場は辛いです。オシャレのためにはなりふり構わぬ系女の子♡



 ガッタンゴットン、ガッタンゴットン。

 モノレールもどきに揺られて、いくとせ、いくとせ。ふああ〜(ビッグバンあくび)。なぁーんて退屈で情緒がない旅なんざましょ。

 あるでしょ、旅の仲間とさぁ……焚き火なんか囲っちゃってさ。夜空を眺めながら話をしちゃう。そんなイベント、王道じゃない?

 「お前の“夢”って……なんだ?」「ふっ。大金を掴んでムラクモタワーを建設することだよ」「何だって!? なんて素晴らしい夢なんだ! 全財産寄付させてくれ!」

 ……なんつってねぇ。

 お隣の席のおじょー様にビスケットもどきをあーんしてもらいつつ、もらいつつ。

 しょうもない想像くんにはさよならしてグッバイ! 夢は……夢なんだ。これからのムラクモちゃんは辛く厳しい現実にも向き合って生きてくぜ。

 うん。過ぎたお金を持つとね、成金圧制者わたしに退化しちゃうからねぇ。地道にプレハブ小屋を増築してくことにするのん。



 ───



 えーんやこーらどっこいしょ。

 遺跡ダンジョンとやらはねぇ、けっこうロマンありげな感じ。古代エジプト文明の遺跡ってあるでしょ。ピラミッドとか。あんなイメージなのん。砂のかわりにツタやコケがむっしむし。

 なんだろうね。最深部にファラオとか安置されてそう。アンデッドとか襲ってきそう。


 ……ただねぇ。

 そんな遺跡の周囲がめっちゃ発展してんの、マージで景観を損ねてます!

 駅はあるし、商店はあるし、民家もあるのん。さすがにビルはないけど。……観光スポットと化してるやんけ! 神秘性ゼロですわこれ。

 ……大丈夫? ねぇこれ、こんなに発展してて、お宝残っとるん? 暴かれ尽くしてなんも残ってないと違いますのん?


『ようこそ! ザイオン遺跡タウンへ!』


 電球まみれのケバい街看板になんとも言えない気分になってるとねぇ、ヤンキーくんってばお手々パンパンして、俺を見ろってアピール始めたのん。

 で、「三十分したらダンジョン攻略を始めるから、準備不足だと思う者は補給をしてこい」って。

 見た目に似合わず慎重派なんだなぁ。ま。ムラクモちゃんは常に準備万端だけどね。何故なら最強だから! 自らの身体一つあれば、万事抜かり無しなのだーっ!

 ……そういうの、なんていうか知ってる? 脳筋っていうんだよ。失敬な! ムラクモちゃんの知能は虫けら界でも有数の高さなんだぞ!

 

 

 思い思いに散ってくみんなを見送って、手持無沙汰のムラクモちゃんは石拾いに精を出しちゃう。甲子園の砂ならぬ、遺跡の石ころ。記念品に最適だぁ……。いい感じのやつを求めてゴーゴー・レッツゴー。

 ……そんで見つけたのはねぇ。真珠みたいな色合いの石レンガ。……何やねんお前、綺麗やんけ。やんっ、ムラクモの親分さんったらぁ。お世辞がうまいのねぇ。本心やで。お前にめっちゃ惚れてもうてん。俺の石になってくれや。……はい。

 やったぜ、いいね! 持って帰ってムラクモタワーに飾ったろ。

 なんかもう、百年分のお宝を見つけたような気分だぜ。これでお仕事完了でいいんじゃない? ダメかな? ダメかぁ。

 

 んーで、集合場所に戻りがてら、ザイオンロールとかって、油臭そうなお料理を発見伝。

 これね、すごいよ。とにもかくにもねえ、油で何重にも揚げまっくったるって料理。ここまで来ると、執念感じちゃう。見るだけでねぇ、胃もたれしちゃいそう。


「食べ歩き用に二つ。おやつ用に包んだやつ三つほしい」

「毎度あり! お嬢さん見かけによらず、健啖みたいだね!」


 ち、違うからね! 独り占めしようってんじゃないの。

 ちゃんとおじょー様にも分けてあげようって思ってるんだから、勘違いしないでよね! 一個だけだけど……。



 で、集合場所。


「アンタ、よく見りゃずいぶん軽装じゃないの。ポーションとか万能鍵とか、ちゃんと必要な道具は持ってんでしょうね?」


 ザイオンロール食べてたの。

 これすんげぇギトギトしとるわ。最強ムラクモちゃんの無敵胃袋をもってしても、ちょっぴり気持ち悪くなるくらい脂っこいじゃないのよって。味は悪くないんだけどねぇ。……なんて恐ろしい料理なのかしら。

 キサマなどムラクモちゃんナップザックの底へ封印してくれるわっ。……もぐもぐ。

 そんなところにかかる声。ちょっと後にしてくれませんか。今ムラクモちゃん、とっても忙しいので。……え? 無視すんなって? へいへい、わかりましたよぉ。

 そっちをチラ見したらね、れっちんが柱にさあ、もたれかかってね、腕組んでんの。スタイリッシュ気取りですか? チィッ、サマになってやがるぜ……。こりゃ、負けてられないぜ!

 

「大丈夫。……いつだって大切なものはいつもここにある」


 つーことで見よやこのプリティ・アームを。そして、このマッシブ・ハートを……。ふっ。決して諦めない心と、腕力。それだけあれば十分なのさ……なんつって。言いやがったなこの野郎! 吐いた唾はのめねえぞ! キキー、バタン! ズダダダダダッ! ぎゃあーっ! なんてこったい! ムラクモちゃんが死んじゃった!


「……ハァ。いい? ザイオン遺跡は相当危険なダンジョンよ。甘く見てると……死ぬわよ」

「外……こんななのに?」

「危険なダンジョンほど、その周囲は賑わうものよ。潜りに入る探索者や、商人が集まるからね。

 だから……遊び気分でいるなら悪いことは言わない。ここで留守番してなさい」


 失敬だな!

 ムラクモちゃんはちゃんとお仕事として来てますよ! お給料分くらいは働きますぅ! まあ、わたしにできることなんて、モンスターくんの頭をむしり取ってあげるくらいだけど。……自分で言うのもなんだけど、なんでお宝探しにわたし呼んだのん? 役立たずもいいとこじゃない?




 ───



 遺跡の中はねぇ、思ったよりもきれい。てっきりもっとオールドな感じだと思っとったのん。歴史の深さを感じさせるようなさ、薄暗くて狭い道を、ある時は巨大鉄球に追われ、ある時はトロッコで大爆走……みたいな? そんでさ、最深部には黄金がザックザクあるんだよ。ロマンですねぇ。

 ここね、大まかなところはいい感じに古代ロマンしてるんだけど、例えばさぁ、電球もどきあるんだよね。めっちゃ照らしてる。そのせいで、暗くないのん。

 ……雰囲気でないにゃあ。罠なんかも大体解除されてて、こう……炎や矢を吐き出す石像とか、落とし穴とか全然ない。もっと言うと、アンデッドなんかも襲ってこない。

 ちょっと! れっちんのバカバカ! 思わせぶりなこと言うから、冒険心くすぐられてたのに、結局何もないじゃないのよ! 言った当人も警戒解いているし。

 ぶーぶー、退屈だよぉ! あらまあムラクモちゃんったら豚さんに転生したの? ぶっぶー! 違いますぅ。あら。じゃあ屁を垂れてるの? スカンク系魔法少女わたし? 下品な物言いはやめてもらおう!


 ……なんか眠くなってきちゃった。しまった血糖値スパイクだ! あんな脂っこいの食べるから……。


「はっ。随分と退屈そうだな、“暴君”さんよ?」

「うん。だって何にも出ないでしょ? 敵」

「そりゃあな。危険なのはずっと先のエリアだ。……事前情報を調べてこなかったのか?」

「うん」

「……っ。そうかい。そりゃ剛毅なことで。──何が“暴君”だ。『英名の剣』のごり押しが」


 足元おぼつかなくなってきちゃった。そしたらおじょー様がさりげなく支えてくれちゃうの。天使かしら? ……いいえ飼い主です。

 わんわん! 今日もペットのチャリクモちゃんは、おじょー様に変わらぬ忠誠を誓っておりますわん! ふっ。鬼のムラクモと呼ばれた俺が……丸くなったもんだぜ。なんつって。



 しばらく進むとね、けっこう目立つ感じに看板が立ってる。……景観ぶち壊しとるなぁ。

 なんて書いてんのかおじょー様に聞こうと思ったの。

 

 その時にねぇ。


 こっちに向かって飛んでくる一筋の光。それって、おじょー様がムラクモちゃんを想ってくれる優しさかしら? 不正解! 答えはビームでーす! ビビビーっ!

 狙いは……わたし達全員かしら。れっちんはね、大丈夫そう。さらっと自分に結界張っとる。おじょー様はムラクモちゃんを抱えて射程外へ飛び退いてくれてる。ヤンキーくんパーティもね、魔法職の人かしら。なんか防御の術を盾持ちの人に重ね掛けして、受けに回ろうしてる。

 んで、着弾。ばっしゅーん! けっこうな威力でございまして、盾持ちくんなんかもんどりうって倒れたし、れっちんも受けきりはしたけど肩で息してる。


「ちゃーちゃん。危険エリアはね、ここからですのよ。あの看板は、立ち入り禁止を示していますの。……あれを見て」


 マイフレンドの指差す先には、ロボット。ファンタジーな見た目じゃないよ。なんか宇宙戦争とかやってそうなデザイン。肩に担いだでっかいキャノンがチカチカ残光を放っちょる……。

 えぇ(困惑)? なんで(真顔)?

 ……いや、ロボットってロマンではあるけど……違うよね? ロマンとロマンが食い合って、もはや腸ねん転だよね?

 ちょっと待って! 異世界でお宝探索してたら宇宙戦争ロボに襲われてるんだがwww ……お前は何を言っとるんだ? ウソじゃないもん! ロボットいるもん!

 

「くっ……こんなところで会っちまうなんて、運が悪い。──散開だ! ルルとブーケはラッシュの援護! ラッシュはヤツの気を引け! 俺はどうにか弱点を──」


 はいどーん!

 相手がロボなら人間じゃないんだ! つーわけでねぇ。死んでね。

 ロボットくんに近寄って、足を引っ掴んじゃう。んでむしり取って転ばせたら、イケメンフェイスを踏んづけて……ぺしゃんこだーっ!

 あらまあ、ひどい有様。成仏してね。ロボにあの世があるか知らないけど。


「──は? え?」

「すごいですわ、ちゃーちゃん!」


 むぎゅー。

 おじょー様に猫かわいがりされつつ、ムラクモちゃんは超速理解をしていた!

 つまり、あいつらみんなぶっ壊して回るのが、わたしの使命なのね!


 ということで、ムラクモちゃんのドキドキ遺跡探索ツアーはこっからが本番ってワケ!

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