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掲示板+【幕間】あるいは、滅びが定めの惑星に生じた特異点

探索者最強議論Part344



119:名無しの太郎


順当に“簒奪王”じゃないか?

国まるごと一つ奪い取ったバケモンやぞ



122:名無しの太郎


いやいや……“狂い咲き”だろ

お前ら、幻獣事変知らんの? 

あれを解決に導いた英雄中の英雄やぞ



128:名無しの太郎


おいおい

『窮鼠の牙』ギルド長、ロイ・ロー様を忘れんなよな。“謀帝”の二つ名を持つ男だぞ

腕っぷししか持ってないそいつらと違って

裏のこともやれるお人だしな



140:名無しの太郎


>>128


残念ですが、その“謀帝”(笑)さんは“暴君”に聖剣をへし折られてしまったので、格落ちとなります



:名無しの太郎


>>140


あ?

んなウワサ信じてんの?

ロイ・ロー様の力を恐れた有象無象が流したデマに決まってんだろ

常識的に考えろよ



142:名無しの太郎


つかその“暴君”って何よ

聞いたことないんだが



143:名無しの太郎


タイラントロリ、バーバリアンロリ、頭トロールロリ……

いくつもの称号を持つ配信者だぞ。最近二つ名持ちになったヤツ



154:名無しの太郎


>>143


それ称号?

蔑称の間違いでは……



157:名無しの太郎


>>154


事実だから仕方ない



162:名無しの太郎


“暴君”っていやぁ

マジでヤバかったよな、あの配信。


あの子が無造作に千切り殺しまくってるから分かりずれぇけど、あの虫モンスター、下位種でもSランク相当の探索者が手こずるレベルなんだよな……



165:名無しの太郎


>>162


ヤラセじゃねぇの?



167:名無しの太郎


事実だぞ。

死体は提出されてるし

実際戦った奴がいて

滅ぼした本人は“暴君”の二つ名持ちになってる



168:名無しの太郎


マイナーかもしれんが

“不死鳥”を推したい

諦めねぇ心が好きなんだ、マジで



174:名無しの太郎


>>119


“簒奪王”のライバルに“軍神”っているよな

詳しくねぇが

互角の相手がいるなら、最強と言い難いのでは?



181:名無しの太郎


例の“暴君”の配信……

増虫事件って名付けられたらしいな

被害が出る前に片付けられたが、世界の危機クラスの危険性だったらしい



186:名無しの太郎


>>174


“軍神”なんて所詮、取り巻き居なきゃ何も出来ん雑魚だろ



193:名無しの太郎


>>181


増虫事件(未遂)



194:名無しの太郎


>>122


“狂い咲き”って

やべぇロリコンだって聞いたことあるんだが……

そんな奴が英雄でいいのか?



199:名無しの太郎


>>194


ま、まあ……

英雄は一癖ある人間が多いっていうし……



200:名無しの太郎


“謀帝”も、フィクサー気取ってるが……

アレでかなりの不幸体質らしいからな。毎度ひでえ目にあってるらしいぞ



202:名無しの太郎


>>200


それを本人のクセにするのは

さすがに横暴では?



205:名無しの太郎


僕は“歌姫”ちゃん!



210:名無しの太郎


>>205


最強議論スレだぞ

コボルト一匹討伐できねぇ雑魚を挙げるな





 ───



【祝!】華亥ムラクモ総合スレPart46【二つ名正式決定!】




28:名無しの観察者


ついにタイラントロリが正式に“暴君”の二つ名を得たか



32:名無しの観察者


俺は最初からわかってたけどな!

タイラントロリがいずれ“暴君”ロリに進化するって



37:名無しの観察者


ムラクモちゃんは“暴君”になっても

バーバリアンかわいいなぁ……(錯乱)



40:名無しの観察者


いやぁ、クイーン・インセクトは強敵だったねぇ



43:名無しの観察者


>>40


現実から目を背けるな



45:名無しの観察者


ムラクモちゃんさぁ

ゴミ掃除するみたいに虫モンスター蹴散らすから、こっちの認識もおかしくなるんだけど

アイツら相当やばい奴らだったみたいね



48:名無しの観察者


>>45


強さより何より

自己増殖してるってのがヤバい

モンスターの軍勢がダンジョンから上ってくるとか、マジの地獄だぞ



50:名無しの観察者


ということは……

ムラクモちゃんって救世主なの?



52:名無しの観察者


>>50


いいや、単に虫嫌いなだけのタイラントロリだぞ






───





 俺が華亥ムラクモにはじめて会ったのは、スカウトの仕事でのことだ。

 ヒーロー・魔法少女を使った広告企画は一大プロジェクトだからな。使えるガキを見つけてくりゃ、会社での評価がうなぎ上りって寸法よ。

 だからみんな躍起になる。……当然この俺だってな。大人気ねぇことをしてるとは思うが、悪いとは思わねぇ。なんたって、どう足掻いても地球は虫けら野郎に滅ぼされるんだ。なら、死ぬまでの間は誰を踏みつけにしたっていい思いしてぇだろ?

 だからモノ知らずのガキを甘い言葉で釣って、使い捨ての鉄砲玉に仕立て上げる。それは俺のルーチンワークになってたし、さしたる罪悪感もなかった。


 ──だが。

 そんな諦観混じりのさ、俺の価値観を粉々に砕いたヤツがいたんだよ。それが華亥ムラクモ。……悪夢みたいなガキだったぜ、本当に。


 華亥ムラクモの名前は、それなりに知られたもんだった。やれ、どこぞの強盗を叩きのめしただの、やれ、災害現場から誰それを救出しただの。ヒーロー気取りの正義マンとして、悪名を轟かせてやがった。

 ヒーロー・魔法少女はよ。素体のガキの活きがいいほど高性能になる。ならよ、そんな逸材……逃す手はねぇよな?

 そう思ってスカウトに向かった奴はそれなりにいたらしいが──、大概はぶん殴られて追い返されてるみたいだった。

 そういう奴らに話を聞いてみると、出るわ出るわ、気性難のエピソードが止まらねぇ。

 特に怖えのはよ、出会い頭にだって、ちっとでも高圧的に接したりしたら次の瞬間には病院行きだっていうじゃねぇか。猛獣か何かか? 頼むから理性よ、仕事しろ。


 後にして考えりゃ、そんな気性難、関わるだけ損なもんだってわかりそうなもんだが……病院送りにされちまった奴らと一緒で、俺もどうかしてたんだろうな。

 特に俺は仕事に関しちゃ、結構粘り強いタイプで売っててよ。ネバー・ギブアップの精神で、根負けさせてみせるぜ、なんてのんきなことまで考えてた。



 華亥ムラクモはそんなに裕福な家の生まれじゃねぇらしい。つか、普通にスラムの住人だ。聞いた話じゃ、父親の顔もわからねぇような出生だってよ。

 ははぁ、と得心したね。

 ぶん殴られた奴らは、ここを勘違いしたんだな。金で釣りゃ、楽にモノにできるってよ。……そんでもって舐めんな馬鹿野郎って殴られたと。ムラクモお嬢ちゃんは、随分とプライドが高くていらっしゃるようで。

 ……ま。そうと当たりをつけりゃ、楽な仕事だ。


 ──そう思ってたんだがよ。


「うっせぇ死ね。殺すぞクソ野郎」


 うん。

 全然楽じゃなかったね。


 これでも、最大限に敬意は払ったんだぜ? 菓子折り持ってよ。スーツ着て、口調だって態度だって、いけすかねぇ上司に媚びへつらうみてぇに丁寧なもんだったはずなんだが……。

 いや、口調はわからんな。だって「はじめまして“協命機関”です、こんにちは」に返ってきたのがソレだもんよ。しかもパンチ付きだぜ? みぞおちにいいの食らって、ゲボ吐きながら崩れ落ちちまったよ。

 やべー奴だよな? マジで。


 幸いなことに、ムラクモお嬢ちゃんにオッサンを痛めつけるご趣味はないようで、追撃は来なかった。

 なぁーんてお優しいんだろうねぇ。涙が出るぜまったくよ。……けっ。


 そんでよ。

 痛みが一段落したところで、再チャレンジと洒落込もうとしたんだよ。

 そしたら、口を開く前に首根っこ掴まれて、ぶん投げられちまったよ。聞く耳持たねぇってのは、まさにこのことだね。


 ……どうもね、ご先達の方々はよほど態度悪く接してくれたみてぇで、“協命機関”のきの字でも口にしようもんなら、金と緑のオッドアイがよ、もうメラメラなんだわ。怒りのバーニングでな。


 どうにも、旗色が悪い。

 もちろん、諦めるつもりはねぇぜ。だがよ、最初に言ったが、この小娘は好きで正義マンやってるような奴だ。つまりは、道義心に訴えかければワンチャンあるだろ。

 つーわけでよ、その日はお暇することにしたんだわ。次来るときはよ、ゲボヘドロのクソったれ虫けら野郎の害悪さをイヤってほど知らしめてやる資料を持ち込んでやろう、ってな。



 ───



 どこぞの国の故事によ、三顧の礼ってあるだろ。そん時の俺の気分ときたら、まさにそんな感じだったね。ま、二度目の訪問だから、三顧には一つ足んねぇがよ。礼も払っちゃねぇしな。


 ガキの家に訪ねに行ったんだよ。そしたら、今娘は出かけていていませんって、そりゃもう色っぽい姉ぇちゃんが教えてくれるわけ。

 ……見てくれは最高だがよ、見るからに騙され易そうな女だ。こりゃ、長生きするタイプじゃねぇな。ま。俺にゃ関係ねぇがよ。


 どこ行ったかって聞いてみたが、どうもオネーサンにもわからねぇらしい。

 こりゃ、仕方ねぇなってなって、一時退散することにした。


 こうなりゃ意地だ。絶対ぇモノにしてやるぜ。 ……なんつってな。



 ───



 クソったれの虫けら野郎どもはいつだって唐突に来やがる。そして、絶対来んなよってとこに限って蹂躙しやがるんだ。けったくそが悪いぜ。


 一部の人間だけが知れる襲来警報ってのがあるんだがよ。そいつが俺に知らせたんだ。宇宙ドデカ糞虫共が来やがったってよ。

 それにしても、意味が分からねぇ措置だよな。どうせ誰も彼も一人残らずくたばるってのによ、襲来警報を独占する意味がねぇだろ。

 来たる滅びをひた隠しにして、何の意味があるのやら……。お偉い様の考えることはわからんね。


 胸糞悪いが、それでも他人事だったんだよな。だが、そうじゃなくなったのは当該地点を見た時だった。──ガキの近所が襲われてやがる。

 焦ったね。……もちろん、心配したわけじゃねぇ。ただ、ぶん殴られてまで目を付けてた素敵な出世道具ちゃんが台無しになるのを恐れたんだ。

 だからクソ上司によ、ヒーローの出撃を願ったね。スラムは見捨てられた土地だからってよ、随分渋られたが、数カ月の減俸と始末書で納得してもらえた。ありがたいね。感謝感激ですよ、俺は。


 そんで、件のスラムへ向かって(何ができるってわけじゃねぇが、いてもたってもいられんかった)──信じられねぇもんを見た。


 スラムを襲っていたのはよ、ミミズだ。デカさで言えば、数メートルから十メートルほどの、バカでかい奴。そんなのが数匹──引き千切られて死んでた。

 ……どういうことだ? 他にヒーローか魔法少女の出撃があったのか? そんなはずはねぇ。

 なら、誰がやった? 答えは一つだった。

 

 巨大ミミズの墓場と化したスラム。

 そんな異様な光景の中心に、あのガキがいやがった。奴は一際デケェミミズの死体に掴みかかってよ、肉を抉って、千切って、掘り起こしてやがる。

 近付いてみると、小さく何かを呟き続けてる。


 「返せ」


 ってよ。


 一つ言っとくがよ。

 このドデカミミズの肉はかなり硬え。ミサイルなんかを撃ち込んでやってもビクともしねぇような硬度をしてやがる。そのくせ、肉の弾力まで持ってやがるから、人類種の既存の兵器は通じねぇんだ。

 そんな奴らが動くし、攻撃もしてくる。

 つまり、ヒーローも魔法少女も基本的にこいつらには勝てねぇ。一体、二体が相手ならやれることもあるが、前提。奴らは軍勢だ。そして、クソったれ虫けらはこんな理不尽ばかりだ。


 ……わかるか?

  この時の俺の心境。


 希望だ。

 ……いや、そんな綺麗なもんじゃねぇか。だがよ、今まで誰も歯が立たなかった化け物をぶち殺してる化け物がいる。

 そして、そいつは人の感情を持ってんだ。

 もしかしたら……なんて、思っちまうのも無理からねぇことってやつじゃねぇか?


「憎いか?」

「──うるさい」

「言っとくが、コイツのお仲間はまだまだそこら中にうじゃうじゃいやがるし、今この時だって平気なツラして人間様を食い漁ってんだぜ」


 そこでよ、はじめてガキの──華亥ムラクモのオッドアイが俺に焦点を合わせた。……はっ。オネーサン譲りのかわいい顔してんじゃねぇの。

 口説きてぇとはミジンコほども思わねぇがよ。


「うちに来い、華亥ムラクモ。てめえにゃ必要ねぇかも知れねぇが、力をくれてやる。

 んでよ、虫けら共をぶち殺せる場所を用意してやるから、一匹残らず殺し尽くせ」

「……力ってなに」

「クリーンでフレキシブルな、サイエンス・パワーだってよ。うさんくせぇだろ。……言ってなんだが、こんなパワーを貰おうなんてやつは、正気じゃないね」


 華亥ムラクモはよ。

 ほんの一瞬ばかり逡巡した様子を見せやがったが、「いいよ」、と軽く頷いた。──巨大ミミズをグチャグチャにしながらな。

 まったく、怖えガキだよ。マジでな。


 ふと、俺は自分の役割って奴がわかった気がした。

 あるだろ、ほら。アニメや漫画なんかでよ。世界を救うような奴のしるべになるようなキャラ。

 俺みたいなクズが務めるにゃ、ちと荷が重いかも知れねぇが……あるいは、滅びが決まっちまった星にまろびでた特異点。うまく舵取りしてみようじゃねぇか。



 そんな衝動的決意をさ、あとでイヤって程後悔することになるんだよなぁ……。

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