4話:姉弟愛だよユニコーン
阿鼻叫喚の1日を終え、俺は自宅に帰っていた。
ピンクのユニコーンが付いてくるのではないかと心配していたが、特にそんなことはなく無事帰還を果たした。
ただ自宅に戻れることがこんなにも嬉しいとは追わなかった、なにもかもあのユニコーンのおかげである。いつかお礼参りをせねばなるまい。
「お帰り~、弟君。」
声がした方向のソファを見れば、我が姉が寝転がっていた。
スマホを熱心に見つめているが、大方アプリでマンガでも読んでいるのだろう。
ショートパンツからは生足がのぞき、ケツはこちらに向けている。あまり健全ではない。
一方で弟に対して羞恥心がなさそうなのは、異性として見ていないという意味においては健全なのかもしれない。
明日からもピンクのユニコーンに付きまとわれることが確定している俺だが、ふとある考えが浮かぶ。
我が姉は現在大学生であり、俺よりは人生経験が長い。
加えて姉という立場がなせる業なのか、俺の話は昔から嫌がらずに聞いてくれた。
よって、今の俺がユニコーンのことを相談するのに最適な人物だと思われた。
「姉さん、実は相談したいことがあるんだけど...。」
俺は話し出した、今朝ピンクのユニコーンと出会い、恋人認定を受け、最終的には馬に欲情する変態呼ばわりされたことを。
話を聞くうちに姉さんの顔は深みを増し、最終的にはこの上なく険しい表情を浮かべていた。
「まさかこんなことになっているなんて思わなかった...。本当に大変だったんだね...。」
なんと俺の話を信じてくれたようだ。
ユニコーンの話なんて信じてくれないと思ったが、さすが我が姉だ話が分かる。
「大丈夫、弟君が今までクラスメイトから無視され続けていたことは知っているから...。架空の存在を作り出すほどに寂しかったんだね...。」
やっぱり信じていないではないか、弟を信用できぬと申すか我が姉よ。
「いや大まじめだよ姉さん、俺が姉さんに嘘をつくようなことをすると思うかい。」
姉さんは少し考えこむようなそぶりを見せるとポンと手を打った、何かを思いついたようだ。
「弟君が言っていることが本当か嘘か私には判断できないけどさ、そのユニコーンが人間に化けているならどこかでボロが出るんじゃない?。実際に競馬を見た時に変な反応をしたんでしょ?。それなら人ならざる様子を見せるのを待てばいいんじゃない。」
おお、割と有能な姉をもって良かった。文字通り相手が「馬脚を露す」瞬間を待つという戦略か。
「ありがとう姉さんいいヒントをもらったよ。奴がユニコーンとしての本性を見せた瞬間に畳みかけてやる。」
俺は満面の笑みを浮かべてサムズアップする、具体的な解決策が見つかったわけではないが手掛かりは得たような気がする。
そんな俺の様子を見て、姉も満面の笑みを見せてこう言った。
「『シスコーン vs ユニコーン』と言うわけだね!!、頑張れ我が弟よ!。お礼は扶養義務でいいよ!!」
待て。たった今とんでもないことを言ったような気がするぞ。
他人の姉弟関係がどうなっているのかは知らないが、もしかして我が姉は割と異常なのではないだろうか。
思えば定期的に変なことを口走っていたような気もする、あるいはユニコーンの登場で俺が過敏になっているだけかもしれないが。
とは言え今はピンクのユニコーンへの対処が優先だ、明日から奴の様子を徹底的に観察しその正体を暴いてやろう。
俺の望む日常に異常な存在は不要なのだ。




