第7話 旅人
「ここはテストにも出すのでよく理解しておくように」
チャイムが鳴って、先生も授業を終了する。
「やっとおわったわぁ!」
ララちゃんがすぐに来てくれて、次の移動教室も一緒に行こうと誘ってくれる。
クロノの事が気になったけど、彼ももう教科書を片付けている。私も移動すべきなんだろう。
「次は…」
「サイラス先生の生物学やな」
教員室とは別に実験室があるらしい。ララちゃんの案内で実験棟へ向かう。
そういえば、と前から気になっていた疑問を口にした。
「ララちゃんのその口調って珍しいよね?」
何となく意味は分かるけど、聞きなじみのないしゃべり方。どうしてなのかなと、少し気になっていた。
「んー?あぁこれなー。お父ちゃんが旅人やってん。」
旅人、その言葉ですぐに分かった。この世界とは違う、別の世界から魂と記憶だけが旅をしてきた人達の総称。そんな旅人が父親なら珍しい言葉遣いでもおかしくない。
「そっかぁ。…旅人って実在するんだね。歴史でしか聞いたことなかったから、ララちゃんの身近にいるんだって思うとなんだか不思議な気分。」
似非関西弁とかゆうとったわ、なんて言うララちゃんに、思ったことをそのまま伝えると、すごく驚いた顔をされた。
「もしかして知らんかってん?」
何の事だろう、思い当たる節もなくて首をかしげる。
「サイラス先生も旅人やねん。そこそこ有名な話やし、昨日聞いたかと思ってんけど、その様子だと知らんねんな」
サイラス先生が!?ララちゃんみたいな不思議なしゃべり方はしてなかったし、あまりピンと来る点はない。
「まぁそーよなぁ。うちもまだよー分からんねん、あの先生」
「そうなんだ?」
疑問ばかりの私だけど、ララちゃんも知らないと言う。本人から聞いたわけじゃない、と言うから。一旦忘れてしまおうかな?なんて思ってしまった。ララちゃんの話を聞いてないことにするのは、よくない事だし、やるつもりもないけど。
「旅人について気になるんやったら、うちより、図書館行くのがええと思うよ」
この学園の図書館は他国でもなかなかお目にかかれないレベルの古い文献なんかも残っていて、さらにそれを生徒ならだれにでも貸出できるようになっている。昨日聞いた先生の説明を思い出しながら図書館に想いを馳せる。
お昼に行ってみようかな、なんて想いながら席について授業が始まる時を静かに待った。




