第20話 Aランチ
午前の授業が終わって、昼食をとるためエーテルと二人で食堂へ行く。
「エーテルは今日何食べるか決めた?」
日替わりランチにしようかAランチにしようか迷ってしまったから、とりあえずエーテルの選択を聞く。
「ぼくは_Aランチにしようかな」
一瞬迷うそぶりを見せながらも、エーテルは2回ともAランチを頼んでいた。
すごく美味しそうに食べてるんだよなぁ…。普段はその日しか食べられない日替わりランチを選んでいる私だけど、今日はちょっぴり苦手な生ハムが入っているらしくて、選ぶのを躊躇している。生ハムをのぞけば他はすっごく美味しそうだから余計に悩んでしまった。
「もしかして…まだ生ハムが苦手なの?」
うっ、バレた!子供の頃の話だし、エーテルも忘れてると思ったのに!
「ぼく、生ハム食べたいな。譲ってくれない?」
ぼくのランチもすこし食べていいから。と続けるエーテルに、何でもお見通しだな、と思う。
いつも考えてることがあてられるから、実は何か裏技を使っているんじゃないかって聞いたこともある。アイリスは全部顔に出るからね、とババ抜きで言われた時の衝撃はすごかった。まさか、そんなわけ、と思ってお父さんやお母さんの方を見ても、うんうんと頷くばかりで否定してもらえない。そっか、私顔に出るんだ、とショックを受けてお面をずっとつけていたのは今ではいい思い出だ。…と思考が飛びかけて、ハッとする。危ない危ない。
「じゃあ、お願いしてもいい?」
エーテルから提案してくれる時は、無理してないって知ってるから、一応遠慮はするけど、つい甘えてしまう。
Aランチと日替わりランチを持って私達は空いてる席に座った。
「はい、あーん」
生ハムをエーテルに渡すため、フォークでまとめてエーテルに差し出す。
「えっ」
びっくりしたようにエーテルが目を見開いて、あっ、と気が付く。うっかり昔のように口へ運ぼうとしたけど、もう小さな子供ではない。エーテルに失礼なことをしてしまったな、と気づいて小皿に入れて渡し直そうと思う。パクっとエーテルがフォークの先を持って行ったと気づいたのは、手が少し引っ張られたから。
「ありがとう」
エーテルはお礼を言ってくれるけど、顔は真っ赤で、やっぱり恥ずかしかったんだなと申し訳なくなる。
その場の空気をごまかすようにエーテルはAランチをよそってくれて。分けてもらったAランチは想像以上に美味しくて。エーテルが繰り返し選ぶのも納得の味だった。
…明日はAランチにしようかな




