第21話 リリス
「じゃあこの書類提出よろしくね」
学級委員として任された最初の仕事。
「頑張ろうね!リリスちゃん」
同じく学級委員のリリスちゃんに笑って話しかける。じっ、と見つめられて、馴れ馴れしかったかな、と思っていたら
「ただの使いっ走りじゃん」
沈黙を突き破ってでてきたのはそんな言葉だった。どうしてそんな言い方をしてしまうのか気になったけど、リリスちゃんの目は私にあまり好意的ではなくて。
「そうかも」
なんてごまかすように笑うことしかできなかった。
「ってか"リリスちゃん"って何?」
かわい子ぶっててキモイ、そう告げられた。
「あっ、リリスって呼び捨てにする方がよかった?」
そう聞いても、そっぽを向いたリリスは応えてくれる気がなさそうで。
私が何かしてしまったのか、それとも何か知らないところで勘違いが起こってしまったのか、冷たくされる理由に心当たりがなくて。リリスと共有できる話題を必死に探す。
「去年のクロノくんは無口だったって聞いたんだけど、そうなの?」
クラスメイトの話なら、と思ってクロノの話をだす。
「そうだったとして、何?特別扱いされてる私すごいでしょ~って?何様のつもりなんだか」
クロノ君の顔がいいから侍らせてるんでしょ、なんてクロノにも失礼なことを言われたから、
「それはクロノくんに失礼だよ。クロノくんはみんなに優しいから」
私の知るクロノを語る。途端にリリスは嫌そうに顔をしかめる。変なことを言ってしまったかな、と思ったら、リリスが先に口をひらいた。
「そもそもさ、転入って何?そんなの聞いたことないんだけど」
どうせコネなんでしょ、リリスに冷たくそう言われて。でも私は否定できなかった。だって、あの人の力が働いてないなんて言い切れないくらいには助けてもらったから。
「ふーん?否定しないってことはホントなんだ。初等部や中等部ならまだしも、実力主義の高等部にコネで入るなんて図々しいね」
軽蔑。その二文字が浮かんだ。
「だいたい…」
調子よく続けるリリスとは反対に、私は今までの行動を思い返す。
ユリウスとクロノとシェイ、そして生徒会への“一方的な押し付け”
仲良くなれたら、お礼ができたら、手伝えることがあったら、なんて全部私の“わがまま”
反省しなきゃ、なんて思いながら、我が身を振り返ることができていなかった。リリスの言葉は、全部私の行動の結果だ_




