第15話 ごっつイケメン
「学級委員やってくれる人いないですか?」
朝礼が始まって早々に先生はそんなことを言った。仕事内容はほとんど雑用で、誰もやりたくなさそうに目をそらしている。
「う~ん。誰でもいいんだけどなぁ」
困ったように先生が言う。本当に誰でもいいのかな?
「やります」
と手を挙げるとみんながホッと息をつくのが分かった。そんなに大変なのかな、と身構えてしまうけど。
「アイリスか、助かるよ」
先生の声は嘘には聞こえなくて、本当に誰でもよかったんだなって分かるから。私も気負わずにできる限りを精一杯やろうって思えた。
「じゃあ放課後集まりあるからよろしくね」
そう一言残した先生は朝礼の時間が終わるより先に教室を出て行った。
「アイリス!ほんまありがとう!」
先生の姿が完全に見えなくなってすぐに、ララちゃんが私の席に駆け寄ってきてお礼を言うから、本当に嫌だったんだなって苦笑する。
「あれ、じゃんけんで負けて去年はうちとクロノがやってたんよ」
クロノは何も共有してくれへんくて大変やったんやで、とララちゃんが言う。
「二人より一人の方がラクなんゃないかって何度思ったことか」
やれやれといった様子で続けるララちゃんに、そういえばもう一人の学級委員になった子はどんな子なんだろう、と私じゃない学級委員の存在に想いを馳せる。教室を見回しても、それらしい影はなくて。
「ララちゃん、もう一人の学級委員ってどんな子?」
でもララちゃんから語られるその子の印象はあまりよくなくて。もしかしたら誤解があったのかもしれないし、そうでなくとも偏見を持ちたくなかったから、聞かなかったことにした。ララちゃんの事を信用してないわけじゃないけど、私は私の物差しで関わっていけたらいいなって思いなおした。
「あ、でもよかったやん」
急にララちゃんが別の話を始める。
「今の生徒会長ごっつイケメンやで!」
見るだけでも楽しいわぁと言うララちゃん。イケメン、と聞いて思い出したのは入学式の時一緒にいてくれた人。在学生代表挨拶もしていたし、生徒会長でもおかしくないなと気づく。
「ララちゃんがそこまで言う人なら会えるの楽しみだな」
想像しているのが同じ人だったらいいな、なんて上手く伝えられないことは言わないけど。ララちゃんが絶賛するイケメンさんに会えるのは楽しみだなって、心からそう思った。




