親衛隊の日常8
ああ、もうすぐ十二歳になってしまう。
この施設で兵士を目指している十人のなかでは、私は一、二を争う実力だと自負している。だけど、それでも国から優秀だと認められて、本当にあの「専門の施設」へ異動できるのだろうか。
未だに、目の前の教官一人にすら敵わない私如きが……。
いや、弱音を吐いても仕方がない。今の自分にやれることをやるだけだ。
「走れ! 走れぇ! 最後にゴールした奴には、特別にもう一周走らせてやる! ありがたく思え!」
糞が。怒号を背中に受けながら、私は必死に足を動かす。
だがその時、すぐ前を走っていた最後尾の奴の姿が目に入った。……あいつ、大丈夫か? 足元が完全にフラフラしている。今にも倒れてしまいそうだ。
気づけば、私の身体は勝手に前に飛び出していた。
「教官殿! 同期はすでに限界のようです! ――代わりに、私がもう一周走らせていただけませんか!?」
私の叫びを聞き、教官がピクリと眉を動かした。酷く冷たい目が私を射抜く。
「何ぃ? ……そうかそうか、私の鍛錬はそんなに生ぬるいか。良し、許可してやる。ただし一周とは言わん。私が『辞め』と言うまで走り続けろ。――返事は!?」
糞が。どこまでクソ野郎なんだ。死ね、死ね、死ね……っ!
「――はっ! ありがとうございます!!」
身体の底から声を振り絞り、私は速度を上げた。
そうして私は、言葉通りに意識を失って倒れるまで走らされた。
この日も結局、私は救護室に担ぎ込まれることになった。午前中で完全に身体が壊れてしまったため、午後の仕事はすべて休みとなり、私は夕食の時間まで、死んだようにひたすら眠り続けるのだった。




