親衛隊の日常35
軍事都市に激震が走った。
あの賢者と名高い商容様が、王様を悪し様に批判して、反乱の兵を挙げたのだ。
「神事を蔑ろにし、血統ある家臣の領地を奪い、民衆に重税を課し、今や無謀な侵略戦争に耽って万民を塗炭の苦しみに落とした暴君・帝辛を退位させよ! 我らが商を正しき姿へと戻すのだ!」
などと語っているそうだ。
その反乱には、商容様に賛同する領主や元領主たちが次々と合流。なんと国境の国軍五千とは別に、彼らが率いる領軍一万五千に元領主の義勇兵など二千あまりが加わり、合計で二万二千。さらに朝歌に進撃している今この瞬間も、賛同者が増え続けているとのことだった。
――有り得ない!
いくら賢者の商容様といえど、王様を退位? 万民が塗炭の苦しみ?
なら、私は?
国に救われ、毎日ご飯を食べられて、こうして兵士になれた私は一体何なのだ。
許さない。今回の反乱に参加した者たちを、絶対に許さない。
国境の警備という大義を放り出し、商容に寝返って王都へと迫る国軍の裏切り者ども。全員、死刑にしてやる。
領主の私兵たる領軍ならば、主の名に従わなければならない事情もあるだろう。だが国軍、貴様らは違う。貴様らは徴兵されたとはいえ、この国の、王様の兵士だろうが!
ああ、糞が。早く、早く私たちに鎮圧の命令を……!




