親衛隊の日常33
大学での日々の訓練に明け暮れるうち、待ちに待った一旬(十日)に一度の休日がやってきた。
私はさっそく、胸の内にずっと渦巻いていた「大学の訓練がぬるい」という戸惑いを、同じ学堂出身の同期の女の子たちに打ち明けてみた。
すると、彼女たちは一様に深く頷いて、苦笑いを浮かべた。
「まあ、あなたの言う通りですわ。今になって冷静に振り返ってみれば、あの学堂という場所は、未成年の子供をそれこそ肉体の限界まで鍛え上げる恐ろしい場所でしたのね」
「それに、あなたは特に二年生になった頃から、成績も実力も周囲を置き去りにして頭一つ抜きんでていきましたもの。あなたほどの天才からすれば、今の大学の訓練の内容、日程に対する困惑は、より一層大きくて当然だと思いますわ」
ああ、やっぱり。私だけじゃなく、みんなもあのぬるさに困惑していたんだ。
でも、本当にこのままでいいのだろうか。私はもっと自分を過酷な環境に追い込んで、さらなる高みへ這い上がりたいのだけれど――。
そう正直に口にすると、あれ?
みんな、なぜだか急に何とも言えない微妙な顔を浮かべやがった。
「あなたの志が高いのは結構ですわ。……でもね、大学が急にそんな限界を求めるような過酷な訓練を始めたらどうなると思う? 学堂のスパルタ環境に慣れている私たちならついていけるでしょうけれど、前線から来た他の方たちは? ――少しは、周りの人のことも考えてあげて」
あ……。
同期の言葉に、私は言葉を失った。
その通りだ。私は完全に慢心していた。
自分だけの基準で物事を測り、周りにいる現役兵の先輩たちの「環境の違い」をまったく考慮していなかったのだ。自分のことしか頭になかった己の未熟さが、急に恥ずかしくなってくる。
「もう、そんな落ち込んだ顔をしないで。ほら、せっかくの休日なんですもの。この間貰ったお給料を握りしめて、お買い物に行きましょう。ね?」
俯きそうになった私の顔を覗き込んで、仲間たちが優しく微笑んでくれた。
「……うん、ありがとう、みんな」
よし、気持ちを切り替えよう。
私は小さく深呼吸をして、みんなの後を追って女子寮を飛び出した。
今日という休日を、全力で思いっきり楽しむために。




